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確定申告で退職金にかかる所得税を取り戻す
● 退職金にも所得税や住民税がかかる
  退職により勤務先から受ける退職金は、通常その支払を受けるときに所得税及び復興特別所得税や住民税が徴収される。この退職金は、長年の勤労に対する報償的給与として一時に支払われるものであることなどから、退職所得控除が設けられたり、他の所得と分離して課税されるなど、税負担が軽くなるよう配慮されている。
  実務上は、退職金の支払を受けるときまでに、会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出する人は、会社が所得税額等を計算して徴収し手取額が支払われるため、確定申告は原則不要となる。一方、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない人は、退職金の収入金額から一律20.42%の所得税額等が徴収され、確定申告で精算することになる。
  前者の「退職所得の受給に関する申告書」を提出する人について、確定申告は原則不要であるが、確定申告すれば税金が戻る場合もあるので、該当者は是非検討していただきたい。
● 退職年に所得が少ない人は税金が還付される!
  退職金の税金については、退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額に1/2を掛けて課税退職所得金額を算出し、これに所得税等の税率を掛けて求める。
退職所得控除額
勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数
20年超 800万円+70万円×(勤続年数−20年)
   注1 :  勤続年数に1年未満の端数があるときは、たとえ1日でも1年として計算します。
   注2 :  上記の算式によって計算した金額が80万円未満の場合は、退職所得控除額は80万円になります。
   注3 :  障害者となったことに直接基因して退職した場合は、上記により計算した金額に、100万円を加算した金額が退職所得控除額です。
参考 国税庁「退職金と税:退職金にかかる税金」
  例えば、勤続30年の人が退職金2,000万円を受け取った場合(先述の「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出しているという前提)、以下のようになる。 
  退職所得控除額:800万円+70万円×(30年−20年)=1,500万円
  課税退職所得金額:(2,000万円―1,500万円)÷2=250万円
  所得税額:250万円×10%−97,500円=152,500円
  このほかに、復興特別所得税152,500円×2.1%=3,202円と住民税250万円×10%=25万円が課税される。
  退職した年の給与所得金額等が少ない場合、生命保険料控除、配偶者控除、社会保険料控除等の所得控除額を、給与所得金額等から控除しきれないことがある。この場合、控除しきれなかった所得控除額を退職所得金額から控除することで、所得税額等が還付されることになる。
  なお住民税は、所得税における退職所得の取扱いとは異なり、所得控除などの適用はない。会社が退職金から特別徴収して課税関係は完了するため、確定申告しても還付されない。
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今村 京子 (いまむら・きょうこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
三重県出身。金融機関・会計事務所勤務を経て現法人へ。平成15年6月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
プライベートでは、夫は税理士の今村 仁で2女の母。趣味は歌舞伎鑑賞。
マネーコンシェルジュ税理士法人
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2015.03.05
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