> 今週のトピックス > No.2991 |
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平成28年の金融商品税制改正に向けて年内にやることは
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平成28年から金融商品の税制が大きく変わる。金融所得課税の一体化によってほぼ一律に20.315%課税になる。国内債券や外貨建て金融商品など、今までは非課税だったが来年からは課税されるケースもあるので注意が必要だ。税制面で今年中に売却した方が良いケース、来年以降に売却した方が良いケースなどを考えてみたい。
![]() ■ 現行の金融商品の税制
@国内発行の利付債
国内で発行されている利付債は売却益に関しては非課税となっている。図表1のように例えば利付債を発行時に債券価格100円で購入し、期の途中に105円で売却した場合、利益5円は非課税である。逆に期の途中に債券価格を105円で購入し、100円で売却、売却損▲5円が発生しても損失はなかったものとされる。 また、期の途中で購入し、満期まで保有した場合の償還差益は、雑所得となる。例えば債券価格95円で購入し、償還(満期)まで保有した場合の差益5円は雑所得となる。この償還差益は他の債券の償還差損との内部通算が可能である。 ![]() ![]() これも@と同様の課税方法になる。 B外貨建MMF 海外の高格付けの短期債券で運用する外貨建て公社債投資信託をいう。外貨が上昇し、売却時に為替差益を得ても非課税。これは、為替差益が発生したという認識ではなく、債券価格が上昇したとみなされ@と同様に売却益は非課税となる。売却損が発生しても損失はなかったものとされる。 C外国債券の割引債(ゼロクーポン債) 額面金額より割り引いて発行され、利息がゼロの債券をいう。売却益は譲渡所得とされ、総合課税の対象。譲渡所得の金額は、次の算式により計算する。 ![]()
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現行税制では、売却して利益を得た場合、特別控除50万円を差し引ける。売却益が50万円以下であれば課税されない。5年を超えて所有していた場合はさらに特別控除後の利益の1/2に課税される。
![]() ■ 平成28年以降の金融商品の税制
金融所得課税が一体化され、上場株式や公募株式投信の譲渡損益、分配金、配当や外債を含む公社債、外貨建MMF、公社債投資信託の利子、分配金、譲渡損益、償還差益などの損益がすべて通算可能となる。
今年中に売却した方が良いケースは、外貨建MMFやドル建ての利付米国債などに含み益を抱えており、保有している上場株式などに含み損を抱えていない人は年内に売却した方が有利である。一方、上場株式等に含み損を抱えている人は来年以降に売却した方が有利なケースもある。外貨建MMFの利益と上場株式等の損失を損益通算できるからである。 今まで見たように外債(利付債)を売却して得た利益は現行では非課税かゼロクーポン債のように特別控除がある。一方、満期まで待って得た償還差益は雑所得として課税される。雑所得は給与などほかの所得と合算され総合課税の対象となる。このため、満期が近い外債を持っている人は年内に売却する選択肢もある。 金融商品は税制だけではなく、長期で保有するメリット(金利、相場など)も含め売却を検討するようにしたい。 ![]() ![]() ![]()
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2015.03.23 |
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