>  今週のトピックス >  No.2992
求められる「がんになっても働き続けられる職場環境」
  内閣府より、「がん対策に関する世論調査(平成26年11月調査)」が今年1月に公表されている。これは、がんに対する印象や知識、がんの予防・発見、などの他、がん患者と社会とのつながり(働き続ける環境)などについて調査しているもので、平成19年の第1回から今回で4回目の調査である。
● 4人中3人が、「がんはこわい」と思っている
  「がんに対してどのような印象を持っているか」を尋ねたところ、「どちらかといえばこわいと思う」「こわいと思う」という回答を合わせると、74.4%の人が「がんをこわいと思っている」という結果になった。「こわいと思う(どちらかといえばこわいと思う、を含む)」と回答した人にその理由を尋ねたところ、「がんで死に至る場合があるから」が72.9%で最も多く、「がんそのものや治療により、痛みなどの症状が出る場合があるから」(53.9%)、「がんの治療費が高額になる場合があるから」(45.9%)がそれに続いている。
● なかなか上がらないがん検診の受診率、その理由とは
  直近の厚生労働省「平成25年国民生活基礎調査」によれば、近年、がん検診の受診率は上昇傾向にあるものの、女性は男性に比べ受診率が低い。男性の胃がんや肺がんのがん検診受診率がそれぞれ2人に1人程度であるのに対し、女性はおよそ3人に1人にとどまっている。乳がんや子宮頸がん検診の受診状況も同様であり、特に女性に関しては、国が目標とするがん検診受診率50%にはまだ道半ばといえる。
  がん検診を受けない理由としては、「受ける時間がないから」(48.0%)、「費用がかかり経済的にも負担になるから」(38.9%)、「がんであると分かるのが怖いから」(37.7%)、「健康状態に自信があり、必要性を感じないから」(33.1%)などとなっている。経済的な理由もあげられてはいるが、国として、がん検診の必要性をいかに啓蒙していくかが、50%の受診率を早期に達成するカギとなるのではないだろうか。
● 3人に2人が「がんになったら仕事を続けられない」と思っている!?
  また、「がんの治療や検査のために2週間に一度程度病院に通う必要がある場合、働き続けられる環境だと思うか」との問いに対しては、「そう思う(どちらかといえばそう思う、も含む)」が28.9%、「そう思わない(どちらかといえばそう思わない、も含む)」が65.7%という回答であった。前回(平成25年)の調査より「そう思う」の割合が増えてはいるが、がん治療と仕事とを両立させるのに十分な職場環境であるとは言い難い状況を表している。
  がん治療と仕事との両立を困難にする最大の要因を「そう思わない」と回答した人に聞くと、「代わりに仕事をする人がいない、またはいても頼みにくいから」(22.6%)、「休むことを職場が許してくれるかどうかわからないから」(22.2%)などのほか、「休むと収入が減ってしまうから」(13.1%)といった生活に直結する問題も抱えている状況である。
  さらに、「政府に求めるがん対策」を聞いたところ、最も多かった回答は「医療機関の整備」(64.9%)であるが、「就労が困難になった際の相談・支援体制の整備」も53.4%と上位にあり、がんになっても働き続けられるような職場環境の整備が早急に求められているといえる。
参考   内閣府大臣官房政府広報室「がん対策に関する世論調査」
2015.03.23
前のページにもどる
ページトップへ