>  今週のトピックス >  No.3002
法人税率引下げなど、27年度税制改正法が3月末に成立
● 施行は原則、平成27年4月1日から
  法人実効税率引下げや消費再増税の延期などが盛り込まれた平成27年度税制改正法が、年度内ギリギリの3月31日に成立した。
  31日の午前中に行われた参院財政金融委員会での所得税法等の一部を改正する法律案、同総務委員会での地方税法等の一部を改正する法律案の採決を受け、夕方から開かれた参院本会議の採決で、ともに賛成141、反対96の賛成多数で可決・成立した。施行は原則、平成27年4月1日からとなる。
  3月13日に衆院から送付された両法案は、ともに3月25日に両委員会に付託され、3月26日、31日の2日間で委員会での審議を終えた。地方税法等の一部を改正する法律案の委員会採決では、賛成・反対が同数となり委員長が賛成することにより可決した。所得税法等の一部を改正する法律案の採決後には、(1)租税特別措置の徹底した見直しの推進、(2)車体課税の見直し、(3)国税職員の定員確保・待遇改善などの附帯決議がされている。
● 「景気条項」削除で2年後の消費再増税は確実に
  今回の改正は、消費税再増税の延期と、法人実効税率引下げを始めとする景気底上げが特徴となっている。消費税は、今年10月に予定していた10%税率への引上げを1年半延期し、平成29年4月とすることが正式に決まった。8%への引上げ時に消費が落ち込んだためもう少し猶予を持たせる。その代わり、景気動向によって再増税の可否を判断する「景気条項」が削除された。これにより2年後の消費再増税は確実となっている。
  法人税については、普通法人の税率(中小法人は年所得800万円超の部分)が25.5%から23.9%に下がる。また、標準で34.62%だった法人実効税率を2年間かけて3.29%引き下げる。1年目となる今年度はまず2.51%引き下げて32.11%に、来年度は0.78%引き下げて31.33%とする。当初「数年で20%台へ」と掲げていた法人税改革だが、現時点ではまだ明確なゴールは見えていない。
  このほか、親や祖父母から貰った結婚資金や子育て資金について1000万円(結婚に関する費用は300万円)まで贈与税を非課税とする「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度」が創設され、本年4月1日から導入された(平成31年3月31日まで)。教育資金の一括贈与についても、平成31年3月31日まで延長のうえ、本年4月1日以降の支出から対象範囲に「通学費」や「渡航費」が加わるなど、世代間格差を解消し、個人消費の活性化が図られた。
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2015.04.09
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