> 今週のトピックス > No.3008 |
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高齢社会の投資先として「ヘルスケアREIT」に注目
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高齢化の進展に伴い、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅、病院などの「ヘルスケア関連施設」に対する需要が高まっており、これらに投資対象を特化した不動産投資信託の「ヘルスケアREIT」が今後、注目を集めようとしているので紹介したい。
![]() ■ 民間資金を活用して介護施設や病院の拡充を図る
そもそもREIT(Real Estate Investment Trust=通称「リート」)とは、収益不動産を運用対象とした投資信託で、不動産投資法人(運用会社)が投資家から資金を集めて、オフィスビルや商業施設、マンションなどの複数の不動産を購入して運用し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する仕組みだ。投資信託といえば主に有価証券が対象だったが、2000年11月の「投資信託及び投資法人に関する法律」の改正により、不動産等も運用対象とすることが可能になり、市場が創設された。
REITのうち、高齢者住宅をはじめとするヘルスケア関連施設に投資対象を特化したのが「ヘルスケアREIT」である。アメリカでは2000年代に入って急速に市場を拡大したが、日本の市場形成はこれからといったところで、ヘルスケアREITの不動産投資法人は、2014年11月に「日本ヘルスケア投資法人」が、2015年3月に「ヘルスケア&メディカル投資法人」が、それぞれ東京証券取引所の不動産投資信託証券市場に上場したばかり。 しかし、高齢社会においてヘルスケア関連施設は重要な社会インフラであることから、国土交通省は民間資金を活用してヘルスケア関連施設の拡充を図るため、投資法人に向けて高齢者向け住宅および病院への投資に係る指針案をまとめる方向にある。国が指針を示すことで市場が整備され、投資家の安心感も高まり、今後は投資マネーがヘルスケア関連施設へ流れやすくなると思われる。 ![]() ![]()
【不動産投資法人への病院への投資に係る指針案】(抜粋)
@運用に携わる人が病院への投融資業務に携わった経験があること Aコンサルタントなど外部の病院経営の専門家と助言契約を結ぶ B資産の売却を決める委員会に専門家を加える ![]() ![]() ■ ヘルスケアREITによる病院経営への影響
投資家の立場で考えてみると、メリットは高齢化の進展によりヘルスケア関連市場が拡大方向にあるため、少額から投資できるヘルスケアREITは魅力的だ。例えば病院等へ投資マネーが流れることで、ヘルスケアREITが今後拡大する可能性があるといえよう。
ただし、上場しているヘルスケアREITの投資法人は今のところ2社しかなく、時価総額も1社あたり170億円程度と規模が小さい。分配金利回りも1.5〜2.5%と、オフィスビルや商業施設ビルなどに投資している通常のREITと比較すると見劣りがする。 例えば病院が投資先の場合、メリットとしては病院の土地、建物をREITに売却することで手元資金が潤沢になり、医療機器に資金を投入することで医療技術を向上させることができる。また、病院経営者が不動産管理から解放されることで、診療に専念することもができるが、病院施設の修繕や改築を独自の判断で行うことができなくなったり、収益性を上げるために診療科目の取捨選択を迫られる恐れなどのデメリットも想定される。また、不動産投資法人に支払う運用手数料や投資家に支払う分配金がある分、自己で施設を保有するよりコスト高になる可能性もある。 高齢化で病院の需要は中長期的に拡大が見込まれるため、スーパーやコンビニなどのチェーン展開型事業会社もヘルスケアREITを活用して病院経営への参入を検討している模様だ。今後、ヘルスケアREIT市場の拡大によって、国民の医療費負担が減ることを期待したい。 ![]() 【国内のヘルスケアREIT】
※時価・分配金利回り・時価総額は4月13日現在の終値 (株式会社FPウィム作成)
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2015.04.20 |
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