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平成25年度赤字法人の割合は6年ぶりに70%割り込む
● 黒字法人の営業収入金額、所得金額ともに4年連続の増加
  国税庁がこのほど公表した「平成25年度分『会社標本調査』調査結果」によると、25年度分の法人数は259万5,903社、前年度より2.4%増で4年ぶりに増加した。このうち、連結親法人は1,392社で同12.0%増、連結子法人は1万171社で同9.5%増。連結子法人を除いた258万5,732社のうち、赤字法人は176万2,596社で、赤字法人割合は前年度比2.1ポイント減の68.2%と6年ぶりの70%割れとなったものの、高水準に変わりない。
  平成25年度分の営業収入金額は、前年度に比べ7.7%増の1,493兆4,688億円と2年連続で増加。黒字法人の営業収入金額は同11.8%増の1,138兆1,711億円、所得金額も同22.1%増の49兆7,926億円と大幅に増加、ともに4年連続の増加となった。営業収入に対する所得金額の割合(所得率)は、前年から0.4ポイント上昇の4.4%となった。赤字法人割合は高水準だったものの、順調に業績回復を図っている黒字法人との二極化がうかがえる。
  黒字法人の益金処分総額は前年比20.6%増の66兆2,206億円。内訳は、支払配当が同21.4%増の15兆2,488億円(構成比23.0%)、法人税額が同13.2%増の10兆1,119億円(同15.3%)、その他の社外流出が同12.3%増の7兆141億円(同10.6%)で、これらを引いた社内留保が同24.6%増の33兆8,458億円と51.1%を占めた。なお、役員賞与は、会社法創設に伴い、平成18年5月1日以後終了事業年度から利益処分項目ではなくなっている。
● 交際費は2年連続増加の約3兆円
  一方、平成26年3月までの1年間に全国の企業が取引先の接待などに使った交際費は、前年度に比べ6.3%増の3兆825億円と、2年連続で増加したが、過去最高だった平成4年分の6兆2,078億円に比べほぼ半減している。このうち、税法上損金に算入されなかった金額(損金不算入額)は同0.2%増の1兆1,488億円と2年連続で増加し、損金不算入割合は同2.2ポイント減少の37.3%と5年連続の40%割れとなった。
  営業収入金額10万円当たりの交際費等支出額は、全体では前年度より3円少ない206円で、これを資本階級別にみると、資本金1,000万円以下の階級が518円と高い一方、資本金が多くなるにつれ減少し、資本金10億円超では98円と低い。また、業種別にみると、「建設業」が511円、「不動産業」が468円、「サービス業」が387円と高く、一方、「鉱業」が115円、「金融保険業」が146円、「機械工業」が154円と低くなっている。
  また、企業が抱える繰越欠損金の当期控除額は9兆8,041億円で、翌期繰越額は68兆6,344億円。1事業年度当たり当期控除額は、全体では1,032万円で、これを業種別にみると、上位は「金融保険業」(7,976万円)、「鉱業」(2,754万円)、「機械工業」(2,663万円)の順。1事業年度当たり翌期繰越額は、全体では3,939万円で、これを業種別にみると、「金融保険業」(2億5,205万円)、「機械工業」(1億829万円)、「化学工業」(8,049万円)の順となっている。
参考  : 平成25年度分会社標本調査
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2015.04.23
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