>  今週のトピックス >  No.3014
社長の平均年齢が過去最高を更新
  帝国データバンク「2015 年全国社長分析」によると、全国の社長の平均年齢が過去最高を更新した。1990年以降一貫して上昇を続けており、社長の高齢化が進んでいる。
● 社長の平均年齢と交代率の推移
  社長の平均年齢は2014年末時点で59.0歳となり、2013年の58.9歳から0.1歳上昇、1990年の54.0歳と比べると5歳上昇している。また、社長交代率(=1 年の間に社長の交代があった企業の比率)は3.83%で、2 年連続で前年を上回ったものの、リーマン・ショック前の4%台の水準からすれば、依然として低い状況にある。
● 業種別・年商規模別の平均年齢
  業種別で最も高かったのは「不動産業」の60.9 歳、次いで「製造業」の60.5 歳、「卸売業」の60.0 歳が続く。不動産業では、「貸事務所業」が64.78 歳、「土地賃貸」が64.57歳、「貸家業」が63.49歳で、これら不動産業の平均年齢が高いのは、社長の高齢化に伴い本業が縮小する一方、余った土地やフロアを貸し出す賃料収入が本業を上回るようなケースが多いためとみられ、分類上はサービス業であるが「駐車場業」(63.54歳)についても同様と推測される。一方、携帯電話ショップなどを含む「通信付帯サービス」は46.79 歳、「ソフト受託開発」は53.13歳、「パッケージソフト業」は53.47歳と、IT関連業種の平均年齢の低さが目立つ。ほかに平均年齢が低いのは、「サービス業」(57.5歳)など比較的起業に資金が掛からない業種となっている。
  年商規模別では、「1,000 億円以上」の60.7 歳が最も高く、「1 億円未満」の59.9歳が続いた。社長の年代構成比を見ると、年商が大きいほど60 代の社長が多く、小さいほど70 代や80 歳以上の社長が多くなっている。また、社長の平均年齢の推移を見ても、「年商1,000 億円以上」が1990 年と比べ0.9 歳下がっている一方、「年商1 億円未満」は7.5 歳上がっており、小規模・低収益という事業を承継する魅力に乏しい中小企業の事業承継の遅れや若者の起業の減少などから、小規模企業の社長の平均年齢が上がり続けている。
● 事業承継を進めるために
  一般的に、社長の年齢が高いということは、企業継続においてはマイナスに働くことが多い。帝国データバンクは「地方自治体や金融機関を中心に、事業承継を支援する必要があるが、各々の地域や産業の持続的な発展のためにも、全体を対象とした支援だけでなく、的を絞った支援策も求められる」と指摘している。
  同時に、社長サイドも、後継者の決定および自身の引退時期を決定し、後継者を「意識的に育成」する、並行して自社株を後継者に移していく(「経営権の承継」と「財産権の承継」)といった計画的な事業承継に、時間的なゆとりを持って取り組む必要がある。また円滑な事業承継のためには、債務の返済資金対策も一緒に行っておくなど、財務面での対策も打っておくべきであろう。
2015.05.07
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