>  今週のトピックス >  No.3015
半数近い企業がベースアップを実施と回答、財務局調査
● ベースアップをする企業は前年度を上回る
  4月22日、財務省は「財務局調査による『賃金の動向』について」を公表した。全国の財務局では、平成27年の春闘結果等を踏まえた賃上げ状況等を把握するため、管内の企業等を対象にヒアリング調査を実施し、その集計結果を毎年公表している。今回の調査は、平成27年3月中旬〜4月中旬に、全国の財務局が管内経済情勢報告を取りまとめる際に従来から継続的にヒアリングを実施している大企業から中小企業まで計1,372社が対象。
  調査によると、27年度に基本給を底上げするベースアップ(ベア)を実施すると回答した企業は47.1%と半数近くに上り、前年度の41.8%を上回ることが分かった。なお「定期昇給のみ行う」は33.6%、「ベアはせずに一時金増を行う」は11.9%であった。
● 4割以上の企業が前年度を上回る賃上げを行う
  27年度に賃上げを行う(予定)企業の割合は92.6%(態度未定・無回答を除く、以下同様)となっている。25年度85.0%、26年度91.9%であったことから年々その割合は上昇しており、賃金引上げの流れは続いている。
  27年度に賃上げを行う企業のうち、ベア、賞与・一時金増額及び定期昇給分を合算し、引上げ率を前年度と比較してみると、「上回る(予定を含む、以下同様)」とする企業が42.1%、「同程度」とする企業が43.7%、「下回る」とする企業が14.2%となり、4割以上の企業が前年度を上回る賃上げを行うとしている。
  規模別でみると大企業で約5割、中堅・中小企業で3割以上の企業が前年度を上回る賃上げを行うとしている。
● 東海地区は、ベア6割超
  27年度に賃金を引き上げる理由については、複数回答になるが「社員のモチベーションの向上、待遇改善」(76.1%)が最も多く、次いで「業績好調」(39.3%)、「優秀な人材の確保」(26.1%)、「同業他社の動向」(20.7%)となっている。
  特に昨年から今年にかけて各企業の採用意欲は高まってきており、ライバル企業との採用競争に負けないようにするためにも賃金を引き上げていくことが求められているのではないだろうか。
  最後にベアの実施状況の割合を地域別にみていくと、北海道・東北・沖縄は3割台にとどまっているが、自動車産業が集積していることが追い風となっているのか東海では6割を超えている。地域差がはっきりとあらわれており、来年以降の動きにも注目していく必要があるといえる。
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2015.05.11
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