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中小企業の研究開発税制の認知度は5割強〜中小企業庁
● 研究開発税制を利用した企業は3割
  中小企業庁は、研究開発費を計上している売上高上位の中小企業を対象に2014年6月9日から7月28日にかけて、郵送回収におけるアンケートの委託調査を実施した。
  「中小企業の試験研究税制(中小企業技術基盤強化税制)の利用実態等に関する調査」結果(回収数757社)によると、研究開発税制の認知度は、「知っている」の割合が最も高く52.2%と5割強となっている。次いで「聞いたことはあるが、あまり知らない」が30.3%、「知らない」は16.0%だった。
  また、研究開発税制の利用の有無は、「利用したことがない」の割合が最も高く67.7%、「利用したことがある」と回答した企業は30.6%だった。利用したことがない理由は、「研究開発を行っていない」が38.6%でトップ、次いで「研究開発税制の存在をよく知らなかった」が16.6%、「研究開発は行っているが、赤字決算が続いているため税額控除制度が受けられない」が12.5%となっている。
● 7割の企業が「総額型」のみを利用
  研究開発税制の利用の有無を平成25年度に限定してみると、24.9%の企業が研究開発税制を利用しており、そのうち70.7%の企業が「総額型」の研究開発税制のみを利用、次いで「総額型+増加型」が25.0%となっている。
  平成25年度について研究開発税制を利用しなかった理由をみると、最も多いのが「税法上の『試験研究費』が存在しなかった」の48.8%であり、次いで「当年度の利益はあるが、繰越欠損金があった」が16.0%となっている。
  また、「外部の技術・知識を活用した研究開発」であるオープンイノベーション型(特別試験研究費税額控除制度)に対する認知状況をみると、「知らない」の割合が最も高く55.1%となっている。「聞いたことはあるが、あまり知らない」が23.8%、「知っている」と回答した企業は9.1%と1割未満にすぎなかった。
● 利用企業の約8割が「効果があった」と回答
  研究開発税制の効果をみてみると、研究開発税制を利用したことがある企業のうち、77.9%と約8割の企業が「効果があった」と回答。押し上げ率は「5%未満」が14.6%、「5%以上10%未満」が13.7%となっている。押し上げ効果の割合が不明と回答した企業を除くと、平均的押上げ効果は7.6%と推計(各選択肢の中央値を用いて加重平均した値、「50%以上」については55%を用いて計算)される。
  また、研究開発税制による余剰キャッシュフローの影響(複数回答)を尋ねると、「影響はない」、「わからない」が高い割合となっており、それぞれ29.4%となっている。「研究開発に係る新たなテーマへの投資」は14.9%、「研究開発に係る設備への投資」が12.3%でこれらの回答が10%を超えている。
参考  : 平成26年度中小企業技術基盤強化税制(国税)及び中小企業等の試験研究費に係る特例措置(地方税)の効果に関する調査(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2015.05.11
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