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美術品等の減価償却資産の判定に関するFAQ〜国税庁
● 取得価額が1点100万円未満の美術品等は原則減価償却資産に該当
  国税庁はこのほど、美術品等についての減価償却資産の判定に関するFAQを同庁HP上に公表した。周知のように、美術品等(絵画や彫刻等の美術品のほか工芸品などが該当)が減価償却資産に該当するかどうかの判定については、平成26年12月19日付の法人税基本通達等の一部改正によって、取扱通達(法基通7−1−1等)の改正が行われており、平成27年1月1日以後取得する美術品等について新しい取扱いが適用されている。
  FAQは、歴史的価値があり、代替性のないもの(古美術品、古文書、出土品、遺物等)に該当しない美術品等が、減価償却資産かどうかの判定について、その改正内容等を周知する狙いがある。
  改正前の通達の取扱いでは、(1)美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る作品であるか、(2)取得価額が1点20万円(絵画にあっては号当たり2万円)以上であるかにより、美術品等が減価償却資産に該当するかどうかを判定していた。
  しかしながら、美術関係の年鑑等は複数存在しその掲載基準がそれぞれ異なる、また、20万円という金額基準は減価償却資産かどうかを区別する基準としては低すぎるのではないかといった指摘があったため、通達改正を行った。改正後の通達では、取得価額が1点100万円未満である美術品等は原則として減価償却資産に該当し、取得価額が1点100万円以上の美術品等は原則として非減価償却資産に該当するものとして取り扱うこととした。
● ポイントは「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」
  ただし、取得価額が1点100万円以上の美術品等であっても、「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」に該当する場合は、減価償却資産として取り扱うことが可能となっている。また反対に、取得価額が1点100万円未満の美術品等であっても、「時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなもの」は、減価償却資産に該当しないものとして取り扱われる。
  つまり、ポイントは「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」に該当するか否かにある。
  FAQでは、「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」として、例えば、(1)会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用として取得されるもの、(2)移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなもの、(3)他の用途に転用すると仮定した場合に、その設置状況や使用状況からみて美術品等としての市場価値が見込まれないもの、の全てを満たす美術品等を挙げている。
参照  : 国税庁ホームページ
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2015.05.25
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