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厚労省、パワハラ対策導入マニュアルで企業の取組促す
  厚生労働省は5月、職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた取組を推進するため、企業の中でパワーハラスメント対策に取り組む際の参考になるよう、「パワーハラスメント対策導入マニュアル〜予防から事後対応までサポートガイド〜」を作成し、インターネット上で公表しました。また、7月から、このマニュアルを活用した「パワーハラスメント対策支援セミナー」を全国約70か所で無料開催する予定です。
● 小さい会社ほどパワハラ対策が進んでいない
  平成24年度に厚生労働省が実施した「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」によると、過去3年以内にパワーハラスメントに該当する相談を受けた企業は32.0%、過去3年以内にパワーハラスメントを受けたことがあると回答したものは25.3%と約4人に1人となっています。
  パワーハラスメントについては、約80%の企業が「職場のパワハラ対策は経営上の重要課題」と考えていますが、実際に予防・解決のための取組を行っている企業は全体の45.4%しかありません。特に、従業員数100人未満の企業では18.2%に留まり従業員規模が小さい企業ほど対策が進んでいないという実態も明らかになりました(下図参照)。また全体では約20%の企業が「現在は行っていないが取組を検討中」と回答しています。

● マニュアルは無料でダウンロードできる
  このため、厚生労働省はパワーハラスメント対策に取り組みたいと考える企業が参考にできるよう、6か月で一通りのメニューが導入できるモデルプラン(下記1〜7)を20社の企業に試してもらって、その結果をまとめて「パワーハラスメント対策導入マニュアル」を作成しました。
【モデルプランの内容】
1,  企業トップからのメッセージの発信
2,  ガイドラインや就業規則などの社内ルールの作成
3,  従業員アンケートによるパワハラの実態把握
4,  管理職研修・従業員研修の実施
5,  会社の方針についての社内周知
6,  相談窓口や対応責任者を決めるなどの相談・解決の場の設置
7,  行為者に対する再発防止研修
  同マニュアルには、従業員アンケート調査のひな形、研修用資料、パワハラ相談対応者が使える相談記録票など、参考資料も収録されています。特に就業規則に盛り込む際のポイントやパワーハラスメント禁止規定のひな形など、社内規定の整備が未だの事業所には参考になります。マニュアルは下記の「あかるい職場応援団」(厚生労働省)から無料でダウンロードできます。
  なお、厚生労働省では7月から、企業の人事担当者を対象に、このマニュアルを活用した「パワーハラスメント対策支援セミナー」を全国約70か所で無料開催の予定です。
参考 厚生労働省「あかるい職場応援団」ダウンロードコーナー
  
半田 美波(はんだ・みなみ)
社会保険労務士
みなみ社会保険労務士事務所 代表、株式会社サンメディックス 代表取締役
診療所で医療事務職として勤務した後、医療法人事務長、分院の設立業務担当を経て、2003年に医療機関のサポート会社・(株)サンメディックス設立。2004年にみなみ社会保険労務士事務所を設立。医療機関に詳しい社労士として知られる。
  
  
2015.06.01
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