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平均貯蓄額1,798万円は過去最高も、年代格差は大
  5月19日に総務省が発表した、「家計調査報告(貯蓄・負債編)平成26年平均結果速報」によれば、二人以上世帯の1世帯当たり貯蓄現在高は1,798万円(対前年59万円増)となり、データ比較が可能な平成14年以降では過去最高額となった。また、勤労者世帯については、1,290万円(同46万円増)であった。
1.貯蓄保有世帯を二分する中央値は1,052万円
−高齢者層の比較的高い貯蓄高によって全体平均を引き上げる傾向も−
  貯蓄現在高の低い方から順番に並べた時にちょうど中央に位置する世帯の貯蓄現在高(中央値)は1,052万円であり、平均値1,798万円との差は700万円以上となっている。
  貯蓄現在高の金額階級別の分布をみると、平均値を下回る世帯が全体の3分の2(67.6%)を占めている。貯蓄額が100万円に満たない層が全体の約1割(10.3%)である一方、3,000万円以上を保有する層も2割近く(17.9%)あり、この層が全体平均を引き上げる結果となっている。また、貯蓄現在高を年代別にみた場合、世帯主が60歳以上の世帯の平均が2,467万円であるのに対し40歳未満は562万円、40歳代1,030万円、50歳代1,663万円となっている。世帯主が60歳以上の世帯の割合は二人以上世帯の半数以上(50.2%)となっており、まさにこの層の貯蓄が全体平均を引き上げていることがわかる。
2.1世帯当たりの負債額は二人以上世帯で509万円、勤労者世帯で756万円。
−9割以上は住宅・土地のための負債−
  二人以上世帯における1世帯当たり負債現在高は509万円(対前年10万円増)、勤労者世帯は756万円(同16万円増)で、二人以上世帯に占める負債保有世帯の割合は37.8%であった。負債の9割以上を占めるのは住宅・土地のための負債であり、二人以上世帯が90.0%(458万円)、勤労者世帯が93.9%(710万円)で、いずれも前年より増加している。
世帯主の年齢階級別貯蓄・負債現在高(二人以上世帯)
  平均 40歳未満 40歳代 50歳代 60歳以上
貯蓄現在高(ア) 1,798万円 562万円 1,030万円 1,663万円 2,467万円
負債現在高(イ) 509万円 934万円 1,051万円 654万円 142万円
純貯蓄額(ア)−(イ) 1,289万円 △372万円 △21万円 1,009万円 2,325万円
負債保有世帯割合 37.8% 54.9% 62.3% 53.1% 18.6%
  以上のことから、比較的余裕のある高齢者層と、子どもの教育費や住宅ローンなどの出費により貯蓄まで手が回らない現役世代との違いがよく見えてくるが、教育資金贈与や相続税精算課税制度など各種制度の活用により、高齢者層から現役世代層への資金シフトがすすみ、金融資産が有効に活用されることを期待したい。
参考 家計調査報告(貯蓄・負債編)−平成26年(2014年)平均結果速報−(二人以上の世帯)
2015.06.11
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