>  今週のトピックス >  No.3041
その贈与、贈与ではありません!
● “つもり”贈与の落とし穴
  今年から相続税の基礎控除が以前の60%に引き下げられたことで、生前贈与に改めて注目が集まっている。実際、平成26年分の贈与税申告は、申告件数、納税額ともに大幅増となった。
  生前贈与は、時間をかければ非常に有効な相続対策となる一方、相続税の税務調査において、税務署からの指摘が多い論点の1つでもある。納税者は贈与をした“つもり”でも、実際は贈与が成立していない、いわゆる“つもり贈与”の問題である。
  贈与というのは契約行為であるため、一方が勝手に贈与をしても成立しない。贈与される側が、その贈与を承諾する必要がある。この点を税務署に指摘され、名義預金などとして相続財産に加算されるケースが非常に多い。
  孫名義の預金に贈与として資金を移しているが通帳も印鑑も自分が持ったまま、貯まった預金は使った形跡なし、口座があるのは孫の住む東京ではなく、自分が住む地方の支店、これでは贈与が成立しているとは言い難い。たとえ、贈与契約書を作っていたとしても、である。
  贈与税は何年も経てば時効になるから問題ない、と誤解されているケースがあるが、そもそも贈与が成立していなければ、贈与税の問題ではない。名義預金として相続財産に加算される、という相続税の問題となる。
● 税務署に突っ込まれない贈与の仕方
  では、どのように贈与すればいいのか、現預金の贈与について、そのポイントを以下にまとめる。
   ・  贈与契約書の作成(未成年者の場合は、親権者の署名捺印も必要)
   ・  贈与税の申告
   ・  現金での贈与は避ける
   ・  通帳、印鑑も含めて贈与する
   ・  未成年者の場合は、成人したら通帳、印鑑を渡す
   ・  自分(贈与者)の印鑑は使わない
   ・  受贈者の居住地に近い支店を選ぶ
  最終的には総合的な判断となるため、上記を全て満たしていなければ否認される、というものではないが、状況証拠は多いに越したことはない。また、その口座の残高が500万円なのか5,000万円なのかで、税務署の見る目が変わる、ということも最後に付け加えておきたい。
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村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
http://www.money-c.com/
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2015.06.25
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