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新しいミックスローン「ダブルフラット」とは?
● フラット35を2つ組み合わせた「ダブルフラット」
  長期固定金利型住宅ローンの代表格である、住宅金融支援機構の「フラット35」で、ミックスローンタイプの「ダブルフラット」の取扱いが2015年4月から始まっています。
  「ダブルフラット」は、その名の通りフラット35を2つ組み合わせた住宅ローン利用法です。組み合わせる2つのローンは、借入額や返済期間をそれぞれ変えて借りることが可能。例えば総額で4,000万円のローンを借りる場合、1つは2,000万円の35年返済、もう1つを2,000万円で20年返済などのような借り方です。
  民間の住宅ローンでも、変動金利型と固定金利期間選択型などを組み合わせるミックスローンはありますが、金融機関によっては、それぞれのローンの返済期間を同じ期間に揃える必要があります。
  住宅ローンは、金利の低さだけで考えれば変動金利型が有利です。しかし、将来の金利上昇のことを考えると躊躇してしまう場合など、金利上昇による返済額上昇リスクをヘッジするため、変動金利型に長期固定金利型や固定金利期間選択型を組み合わせたミックスローンが用意されています。
  ところが、ダブルフラットはそもそも長期固定金利型同士の組み合わせですから、金利上昇リスクはありません。では、あえて長期固定金利型の住宅ローンを2本組み合わせる意味はどこにあるのでしょうか?
● 返済期間によって金利が変わる特徴を利用
  ポイントは、フラット35の返済期間の違いによる金利差にあります。フラット35には返済期間によって金利が変わる特徴があり、返済期間15年以上20年以下の「フラット20」では、返済期間21年以上の「フラット35」の金利より低い金利で借りることができます。
  例えば、2015年6月のフラット35の金利で見てみると、「返済期間15年以上20年以下」は1.31%、「返済期間21年以上35年以下」では1.54%となっています(金利は、融資率9割以下の取扱金融機関の最多金利)。
  この特徴を利用して返済期間や金利の異なる2つのフラット35を組み合わせれば、当初の返済額は多くなるものの、将来の返済負担を下げることができるというのがダブルフラットのセールスポイントです。
返済例@
4,000万円を2,000万円ずつ「ダブルフラット」(フラット20とフラット35)で借りた場合(返済額は上記2015年6月の金利で試算)

返済例A
4,000万円を「フラット35」だけで借りた場合(返済額は上記2015年6月の金利で試算)

  「定年後、収入が減った時は返済負担を下げたい」「将来、子どもの教育費の上昇時にはローンの返済負担を下げたい」という人たちに効果的です。
  一方デメリットとしては、ローンが2つになることで事務手数料が2つ分発生すること。また、取り扱っている金融機関は限られていて、2015年6月現在では地方銀行や信金、住宅ローン専門会社が中心です。
  ライフプランにあわせた返済計画が立てやすくなるダブルフラット。住宅を購入するお客様の資金計画の際には、選択肢の一つになりそうですね。
  
高橋 浩史 (たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
東京都出身。デザイン会社、百貨店、広告代理店などでグラフィックデザイナーとして20年間活動。その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。
住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/
  
  
2015.06.29
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