> 今週のトピックス > No.3046 |
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認知症等に罹患している契約者が行った受取人変更は有効? | |||||||||||||||
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今後、高齢者人口の急増とともに認知症患者数も増加すると思われますが、問題となるのが、認知症等に罹患している契約者が受取人変更の手続きを行った場合の受取人変更の有効性です。この点について、参考となる判例を2つご紹介します。
![]() ● 大分地裁平成23年10月27日判決※1
事案を簡単に説明すると、以下のとおりです。
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![]() ![]() ● 東京地裁平成16年7月29日判決※2
これは、契約者・被保険者Aの保険契約について、平成12年2月7日付けで保険金受取人をX(Aの夫)からXとAとの間の長男C及び長女Dの2人に変更するとの手続きが行われ、また、平成12年9月12日付けで契約者をAからCに、保険金受取人をC及びDからC1人に変更するとの手続きが行われた事案に関するものですが、裁判所は、Aはヤコブ病に罹患しており、Aは、平成12年2月及び9月当時、ヤコブ病の急激な進行による著明な四肢固縮、言語理解不良、痴呆のため、介添えがあっても自署をし、捺印をすることはできなかった、また、Aは、平成11年12月からの入院後、急速に症状が悪化し、医師及び看護士との意思疎通に困難をきたす状態に陥っていたこと等から、平成12年2月及び9月の受取人(契約者)変更請求書は、いずれもAの意思に基づいて真正に成立したものではないと判示しました。
なお、保険会社はCに保険金を支払っていましたが、裁判所はこれについて、営業職員Fが、保険会社の内規に反して、Aとの面談を怠り、また、Aと面談し意思確認を行った旨の虚偽の報告書を作成したこと等から、保険会社には過失があるとして、Cへの保険金の支払いは債権の準占有者への弁済として有効にはならない旨判示しています。 ![]() 受取人変更が有効となるか否かは、受取人変更が行われた際の契約者の認知症等の症状の程度が重要になると思われますが、たとえその程度が軽度であったとしても、後に元の受取人等の利害関係人から受取人変更が無効であったと主張される可能性もあるので、慎重な対応が求められるように思います。 ![]() ※2 LLI/DB:L05933232 ![]()
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2015.07.02 |
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