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グループ法人は増やすべきか?まとめるべきか?
● グループ法人を増やすメリット、デメリット
  会社が順調に成長し、ある程度の規模になってくると、別法人を設立して、グループ法人経営を選択するケースがある一方で、過去にグループ法人をいくつか立ち上げたが、いったん整理してまとめたいというケースもある。
  両者に共通するポイントは、複数法人を所有することのメリット、デメリットである。
  まず、メリットとしては、中小企業特例である「所得800万円以下の法人税率優遇」や「年間300万円までの少額減価償却費」、「交際費等の800万円定額控除限度額」といった特例が、グループ全体で、グループ法人の数だけ、限度額を利用できることが挙げられる。例えば、グループ法人が3社あり、それぞれが要件を満たしていれば、少額減価償却資産の特例枠が300万円×3=900万円分利用できることになる。中小企業倒産防止共済についても同様に、1社当たり800万円まで全損で積み立てることが可能である。
  一方、法人を複数所有することによるデメリットも存在する。グループ法人経営の場合、グループ間の取引が発生し、経理事務が複雑になり、決算申告も法人の数だけ、行わなければならなくなる。また、別法人で赤字が発生したとしても、同一法人でなければ、連結納税をしない限り、その赤字を自社の黒字と損益通算することはできない。
● 目先の利益で判断するのは禁物
  逆に、グループ法人を整理してまとめる、という立場から考えると、上記のメリットとデメリットはちょうど裏返しの関係になる。法人を1つにまとめれば、複数法人を所有することによるメリットは享受できない。例えば、3社で中小企業倒産防止共済をそれぞれ満額積み立てていた場合、1社に合併すれば、800万円(満額)×2社=1,600万円については、益金で受け入れる必要がある。事業承継が絡むケースでは、法人が1つになり、会社規模が大きくなることによる株価への影響も考慮しなければならないだろう。
  いずれの場合にも、短期的な損得に目を奪われることなく、長期的に見て、自社にとってどういう影響があるか、金銭面以外も十分に考慮しながら検討する必要がある。
会社を守りぬく
ガマン経営22の心得
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村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
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2015.07.09
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