> 今週のトピックス > No.3054 |
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トヨタ自動車が個人投資家向けに「AA型種類株式」発行
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トヨタ自動車が「AA型種類株式」と称する元本保証型の新型株式を発行する。ねらいは1割程度にとどまっている個人投資家の持ち株比率を上昇させることにある。人気を博しているトヨタ自動車の新型株式とはどのような商品なのか探ってみた。
![]() ■ 元本保証がある転換社債のような新型株式
「第1回AA型種類株式」の発行価格は、発行価格決定日(7月2日)の普通株式終値の126%〜130%の予定で、終値8,153円の上限(130%)の1万598円で決定した。募集株式数は4,710万株。発行総額は4,991億円規模。申込単位は100株以上100株単位で、申込期間は7月3日〜22日、新型株式の引き渡しは24日となっている。全国の野村證券支店で申し込める。
名称の「AA型」とは、金融商品の分類などではなく、昭和11年に同社の前身である豊田自動織機製作所自動車部が開発・製作したトヨタ初の生産型(ライン生産)乗用車の車名にちなんだもの。 配当は発行価格に対して、初年度は0.5%(52円)、以後0.5%ずつ増え、2年目1.0%、3年目は1.5%、4年目2.0%、5年目以降は2.5%に固定。平均配当利回りは5年間保有したときは1.5%、10年間保有したときは2.0%となる。“トヨタ銀行”へ預金すると考えた場合、かなり魅力的な利回りである。 発行から5年を経過すると、普通株式へ転換でき、普通株式としてそのまま保有することも、時価で売却することもできる。その時の株価が発行価格を上回っていれば(下図時価@参照)、売却することでキャピタルゲインを得られる。逆に時価が発行価格を下回っていたら(下図時価A参照)、トヨタ自動車へ発行価格で買い取りを請求できる。日本人投資家が好む「元本保証」型商品だ。 なお、経営参加権とよばれる議決権も1単元(100株)についている。議決権は株主総会において行使でき、会社から提案された議案に対して賛成、反対の意見を表明できる。 ![]() ■ 譲渡制限があり、5年間は原則として売却できない
債券を株式に置き換えた新しいタイプの金融商品といえるだろう。5年で1.5%の利回りは、現在の低金利を考えるとかなり魅力的な金融商品であるが、デメリットもある。
その最たるものは、譲渡制限があるため、破産・自然災害などやむを得ない場合を除いて5年間は売却できないことだ。次のような可能性は少ないが、トヨタ自動車が将来十分な利益が出ない場合やシャープのように経営的苦境に陥った場合、配当が支払われなくなったり、買取請求をしても必ず買い取ってくれる保証はない(一般債権者に劣後し、普通株主に優先する)。 また、新型株式は非上場であるため、特定口座やNISAは利用できない。ただし、普通株式転換後は、特定口座での売却も可能である。 なお、受け取った配当金は配当所得となり、申告が必要であるが、非上場株式で配当所得が年間10万円以下の場合、確定申告不要制度を選択することもできる。 新型株式は目先の利益を追求するのではなく、安定した利益を得ることが目的である。長期で保有してほしいものである。 ![]() ![]() ※トヨタ自動車株式会社「AA型種類株式に関する説明資料」を基に(株)FPウィム社作成。 ![]()
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2015.07.16 |
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