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水難の死者・行方不明者、半数近くが65歳以上の高齢者
  平成27年6月18日、警察庁生活安全局地域課から「平成26年中における水難の概況」が公表された。同概況によると、昨年1年間の水難事故は、発生件数、水難者数、死者・行方不明者とも一昨年を下回った。
● 子どもの死者・行方不明者数以外は前年を下回る
  平成26年中の水難は、発生件数1,305件(前年対比▲154件)、水難者1,491人(同▲148人)、うち死者・行方不明者740人(同▲63人)で、いずれも前年を下回った。このうち子ども(中学生以下、以下同様)は、発生件数166件(同▲32件)、水難者223人(同▲21人)は前年を下回ったが、死者・行方不明者については55人と前年より11人も増えてしまった。
  死者・行方不明者740人について、同概況では以下のように分類している。
  年齢層別にみると、65歳以上が44.3%と半数近くを占め、高校卒業相当〜65歳未満が45.3%、高校生相当が3.0%、子どもが7.4%(小学生26人、中学生16人、未就学児童13人で延べ55人)となっている。
  発生した場所別にみると、海(47.4%)、河川(33.6%)が多いのはわかるが、次いで用水路(10.1%)、湖沼地(6.8%)、プール(0.6%)の順になっており、意外にも用水路における水難事故が1割も占めている。よく農業を営む高齢の方が台風の最中に田畑の見回りに出かけて、用水路に転落したというようなニュースを見かけるが、そのような犠牲者も含まれるのだろう。
  行為別にみると、魚とり・釣り(25.8%)が最も多く、通行中(11.6%)、水遊び(11.1%)、水泳中(8.5%)、作業中(8.2%)、ボート遊び(1.2%)と続く。この項目で気になったのが、「水難救助活動中」7人(0.9%)と「陸上における遊技スポーツ中」4人(0.5%)だ。
  救助に向かったために犠牲になってしまった方が7人もいるということは、それだけ“水の怖さ”が想像できよう。一方、「陸上における遊技スポーツ中」というのは、海や川などで元々何か(行為)をしていたのではなくて、例えば、河原でキャッチボールをしていて、川に落ちてしまったボールを拾おうとして流されてしまった。あるいは、橋の欄干で遊んでいて、誤って落ちて溺れてしまったなど、“水に接している”という自覚がないときに不意に起こる水難事故による犠牲者を指している。
● 水難を未然に防ぐための対策
  警察庁では、水難を未然に防ぐためには、余裕を持った計画を立てるとともに、以下のような点に留意する必要があるとしている。
   ・  魚とり・釣りでは転落等のおそれがある場所、水泳や水遊びでは水藻(海藻)が繁茂したり、水温の変化や水流の激しい場所、深みのある場所等の危険箇所を事前に把握して、近づかない。また、子供を危険箇所に近づけない。
   ・  天候不良時、体調が悪いとき、飲酒したときなど、水難のおそれが高いときには、釣りや水泳を行わない。
   ・  釣りやボート等で水辺に行くときは、必ずライフジャケットを着用(体のサイズに合った物を選び、正しく着用)する。
   ・  遊泳時の安全確保として、危険区域と標示された区域内に入らない。遊泳区域を標示する標識等を移動・損壊しない。遊泳区域以外では遊泳しない。遊泳中に他人に抱きつくなどの危険行為をしない。水深・水流を考慮し、安全な方法で遊泳する。
   ・  子供の水難防止のため、子供一人では水遊び等をさせず、幼児や泳げない学童等には、ライフジャケットを着用させ、その者を保護する責任のある者が付き添うなどして、目を離さないようにする。
2015.07.23
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