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猛暑全開!職場の熱中症予防対策は万全ですか?
● 昨年の職場における熱中症の死傷者は423人
  毎年この時期になると心配なのが熱中症。仕事をするうえで冷房の行き届いた室内での作業なら心配はいりませんが、屋外での作業となると注意が必要です。
  本人の日頃の体調管理や前日の不摂生などが原因となっているなら熱中症は私病扱いですが、労働基準法施行規則第35条別表第1の2に定められているとおり「暑熱な場所における業務による熱中症」は、一般的認定要件または医学的診断要件のいずれかが該当していれば業務上災害と認められます。
  例えば、暑さ指数(WBGT)※1が28℃以上の場所で作業に従事させていたなら、業務上災害と認められる可能性は高いです。さらには、事業場、監督責任者等が注意義務を怠ったとして過失を問われることもあります。
  厚生労働省の通達「平成27年の職場における熱中症予防対策の重点的な実施について」によると、平成26年の職場における熱中症による死傷者(死亡者及び休業4日以上の業務上疾病者)の数は423人と平成25年よりも100人以上少なくなりましたが、猛暑であった平成22年の656人には遠く及ばないものの、23年以降は毎年400〜500人台で推移し、依然として高止まり状態にあります。

● 真夏の建設現場は熱中症のリスクが高い
  同通達によると、過去5年間の業種別の熱中症の死傷者数では建設業が最も多く、次いで製造業となっており、この2業種だけで過半数を占めています。

  厚生労働省では、死傷災害が多く発生している建設業及び建設現場に付随する警備業、製造業を対象業種として重点的に対策を講じるよう通達を出しています。なお、夏季の建設現場はWBGTが危険範囲になるのは日常的なことですので、国土交通省では一昨年から8月後半には舗装工事を発注しないこととしています。
※1 暑さ指数(WBGT)とは、熱中症になりやすいかどうかを示す温度指標のこと。詳しくは環境省「熱中症予防情報サイト」をご覧ください。
※2 本文中の図表2点はいずれも「平成27年の職場における熱中症予防対策の重要的な実施について」より転載。
参考 厚生労働省「平成27年の職場における熱中症予防対策の重要的な実施について」
  
半田 美波(はんだ・みなみ)
社会保険労務士
みなみ社会保険労務士事務所 代表、株式会社サンメディックス 代表取締役
診療所で医療事務職として勤務した後、医療法人事務長、分院の設立業務担当を経て、2003年に医療機関のサポート会社・(株)サンメディックス設立。2004年にみなみ社会保険労務士事務所を設立。医療機関に詳しい社労士として知られる。
  
  
2015.08.03
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