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人気のタワーマンション節税に死角はないか?
  相続税の基礎控除額が低くなったことを受け、相続税の節税に関するさまざまな方法が考えられています。その中で注目を集めている方法の一つが、タワーマンションの購入です。タワーマンションを購入すると、どうして節税になるのでしょうか?
● マンションの評価額に注目しよう
  マンションの評価方法は、戸建てと同じように土地と家屋に分けて評価されることになっています。家屋の評価額は固定資産税の評価額と同一になりますが、土地の評価額は専有部分の面積で案分して計算するのが一般的です。
  つまり、戸数の多いタワーマンションであれば、案分する戸数も増えることになります。そのため、一戸当たりの土地の持ち分割合は小さくなりますので、必然的に土地の評価額は低くなります。
  そのため同じ専有面積であれば、購入価格が異なっていても土地の価格は同一になるため、購入時の金額が3,500万円であろうと1億円であろうと、同一面積のマンションであれば土地の評価額は同じになります。つまり、タワーマンションなどは同一面積でも上層階ほど高額になりますから、実際のマンションの価格と評価額との差をメリットとして活かすことができます。
  また、適用要件を満たせば小規模宅地等の特例も活用できますし、賃貸として貸し出すのであれば貸家建付地として7〜8割に評価を下げることが可能になってきます。
  相続財産における現金の割合が高いのなら、タワーマンションを購入して資産の組み換えをすれば、節税のメリットが享受できるという訳です。
● 節税を考えて購入するのなら専門家への相談は必須
  多くのデベロッパーが、タワーマンションの節税効果からアプローチしているケースが少なくありません。
  タワーマンション投資をする場合には、必ず、税金面のメリットだけでなく、トータル的なメリットや将来起こり得る相続のときにスムーズな相続が可能なのかを見極めていくことが大切になってくるでしょう。
  タワーマンションを購入する場合、眺望の善し悪しは大切なポイントになります。
  購入時点では○○がよく見える……というような物件であっても、後に、近隣に高層な建物が建てられて眺望が遮られてしまったような場合には、物件価格が下がってしまう可能性が否めません。
  また、相続後、すぐに売却をするような場合には、実際の売買価格を基に相続税の計算がしなおされるケースもあるようです。こうなると本来の節税には繋がらないことになってしまいます。
  タワーマンションで節税を考えているのであれば、物件選びは慎重に行う必要があります。その場合には、不動産の知識のみではなく、法律や税金などの知識を持つ専門家に相談することが必須になります。
  
飯田 道子(いいだ・みちこ)
海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)
  金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
  海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。
  
2015.08.06
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