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「セクハラ、パワハラ、マタハラ」の相談は増加傾向
● 2日間で542件の相談
  連合は、6月11日・12日に全国の地方連合会において「女性のための全国一斉労働相談」を行い、その結果を公表した。
  今回の労働相談は、女性からの相談で特に多い3つのハラスメント(セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメント)をテーマに設定し、女性が気軽に相談できるよう女性の相談員を増やして対応した。相談件数は、2日間で542件にのぼった。テーマ設定の影響もあって女性からの相談が73.3%を占めており、年代別でみると40代が最も多かった。
● 業種別では、「医療・福祉」の現場が最多
  相談者の雇用形態別では、正社員以外(パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託社員、臨時・非常勤職員)からの相談が4割強を占めており、その中でもパートからの相談が最も多く24.2%であった。業種別では、「医療・福祉」の現場で働く人からの相談が20.2%と最も多く、女性に限った集計でも「医療・福祉」は25.3%でトップであった。集計報告によると、医療や介護の現場で働く女性からは、上司や同僚からの暴言やいじめを訴える声が多く、厳しい職場環境に直面していることが浮き彫りになった。
  相談内容では、「セクハラ・パワハラ・嫌がらせ」の相談が最も多く、全体の3割を超えている。ハラスメントが無意識のうちに日常的に行われており、改善の兆しもないような職場も依然として存在しているということだ。また、男女別の賃金表や性別を基準にした扶養手当の支給要件などに関する相談もあった。
● マタハラに関する相談も増えている
  前述の集計報告によると、マタハラに関して具体的な相談事例として「産休・育休をとった全員が降格される。女性の活躍を推進している中でこのような不利益扱いは許されるのか」という告発に近いような内容もあったことが記載されている。
  一方、マタハラに関する相談については、厚生労働省に寄せられたものだけでも1年間で約3,000件もあるといわれており、今回、連合に寄せられた相談は氷山の一角に過ぎないといえる。
  連合はこのような結果を受けて、「男女雇用機会均等法の制定から今年で30年となるが、男女平等の職場環境は未だ実現途上にある」と集計報告で指摘しており、「引き続き、男女がともに仕事と生活の調和を図りながら働き続けることのできる環境づくりに取り組んでいく」と宣言している。
  このような深刻な労働相談が数多く行われていることを企業側もよく理解して、トラブルを未然に防ぐという意味で、まずは自社の職場環境の総点検をしてみる必要があるといえるだろう。
※  厚生労働省「平成25 年度 都道府県労働局雇用均等室での法施行状況の公表」によると、労働者からの相談で「婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い」が2,090件、「母性健康管理」が1,281件で、どちらも前年度より200件以上増加している。
参照 連合HP 全国一斉労働相談ダイヤル「女性のための全国一斉労働相談〜STOP!セクハラ・パワハラ・マタハラ」集計報告
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2015.08.10
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