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熱中症は保険の対象?
● 例年にない猛暑で熱中症発症者が急増
  連日猛暑が続いている。気象庁の発表によると、8月1日〜10日において、東京地方で10日間のうち7日間、大阪地方で10日間すべてが猛暑日(1日の最高気温が35℃以上になる日のこと)となった。
  消防庁では毎年、熱中症による救急搬送人員数を公表している。平成27年7月27日から8月2日までの速報値によると、この週に熱中症により救急搬送された人は11,672人で前年同時期の5,712人の倍近くにもなっている。
  熱中症は室温や気温が高い中で、体内の水分や塩分(ナトリウム)などのバランスが崩れ、体温の調節機能が働かなくなり、体温上昇、めまい、体のだるさ、ひどいときには、けいれんや意識の異常など、様々な障害をおこす症状のことである。特に、子供や高齢者は体温調節機能がうまく働かず熱中症の危険が増加する。
  症状が軽いうちは、涼しい場所に移動し、水分を補給することで対処できるが、重くなってくると意識障害やけいれんを引き起こすこともある。最悪の場合死に至ることもあるため、場合によっては、すぐに医療機関を受診する、あるいは救急搬送を要請する等の対応も必要になる。
  熱中症の予防のためには、エアコンなどを利用して室温が28℃を超えないようにし、こまめな水分補給と、適度な休憩が大切である。
● 熱中症は災害でなくて病気
  ところで、熱中症が原因となった場合、保険の対象にはなるのだろうか。
  消防庁の資料によると、平成22年から平成26年(6〜9月)に熱中症により救急搬送された人のうち約4割が、入院が必要であったとのことである。熱中症は「急激・外来・偶然の事故」という要件を満たさないため、災害死亡保険金や災害入院給付金の対象とはならず、いわゆる普通死亡保険金、疾病入院給付金の対象になる。
  生命保険契約で医療関係の特約を付加している場合、疾病・災害のいずれの場合にも保険金・給付金が支払われるように設計している場合が多いと想定されるが、古い契約で災害入院特約しか付加されていないような場合には、入院給付金の支払い対象外になるので注意が必要である。
  ちなみに、損害保険会社の販売している傷害保険などでは熱中症は支払い対象外であるが、最近は熱中症が原因の場合に入院保険金等を支払う特約を販売している会社もある。
  事前の予防により熱中症にならないことが重要なことは言うまでもないが、入院をしなければならない場合に備えておくことも大切である。顧客を訪問した際に話題として提供してみるのも良いだろう。
2015.08.17
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