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最近の融資トレンド、金融庁の目指す方向は?
● 担保や保証に依存しない融資の促進
  現在、第三者による連帯保証を原則禁止とする民法改正案が国会に提出されているが、時代の流れは、「担保や保証に依存しない」融資を促進する方向に向かっている。平成26年2月に「経営者保証ガイドライン」の適用が開始されたが、これもその流れの1つである。背景には、成長戦略の一環として新規開業率アップを目指している政府の意向があり、今まさに国を挙げて、起業促進に向けた施策がどんどん行われている。
  その流れを受けて、金融庁も「担保・保証に必要以上に依存しない」融資を促進しており、そのポイントは大きく4つある。
  1つ目は、「事業性評価に基づく融資等の促進」である。事業性評価とは、現時点での財務データや担保・保証にとらわれず、企業訪問や経営相談等を通じて情報収集し、事業の内容や成長可能性などを適切に評価することをいう。金融庁は、各金融機関に対し、目利き能力を発揮して、融資や助言を行うよう促している。
  2つ目は、前述の「『経営者保証ガイドライン』の活用促進」である。現在、借入のある中小企業の8割超が経営者の個人保証を提供しているが、平成26年2月から適用が開始された同ガイドラインでは、一定の経営状況が認められる場合に、金融機関は、経営者保証を求めないことや、既存の保証契約の解除などを検討することとなっており、金融庁はガイドラインの融資慣行としての浸透・定着に取り組んでいる。
● 金融検査を理由に、中小企業融資が断られることはない
  3つ目は、「『短期継続融資』を通じた運転資金融資の円滑化」である。最近は、運転資金の融資と言えば、長期融資で約定弁済を求められるケースが多いが、金融庁は、「金融検査マニュアル別冊[中小企業融資編]」に新たな事例を追加し、正常運転資金の範囲であれば、手形の書き換え等の短期継続融資で対応することに何ら問題がないことを明確にしている。
  4つ目は、「個別融資に係る検査手法の見直し」である。金融庁は、新しい金融モニタリング方針に基づき、金融機関のリスク管理体制や金融機関全体の健全性を確認することとしているが、金融機関の経営に影響を及ぼすような大口与信以外の中小零細企業に対する融資は、基本的に金融検査の査定の対象とならない。中小企業向け融資については、金融機関自らの判断が尊重されることとなっており、金融機関が金融検査を理由に融資を断ることはない。
  金融庁は、上記の内容をまとめて、担保・保証に必要以上に依存しない融資の促進に向けた事業者向けパンフレット「円滑な資金供給の促進に向けて」を、7月30日に公表している。金融機関と融資交渉をするにあたっては、自社の決算書やメインバンクとの関係などももちろん大事だが、上記のような大きな枠組み、時代の流れを知っておくことは、交渉を有利に導く材料となりうる。他社より一歩前を行くためには、こういう情報を頭に入れておくことが必要だろう。
参照  : 金融庁HP「円滑な資金供給の促進に向けて」
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村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
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2015.08.27
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