> 今週のトピックス > No.3074 |
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仕事と介護の両立支援制度見直しへ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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![]() ● 6割以上の企業が介護休業の分割取得ができない
8月7日、厚労省の「今後の仕事と家庭の両立支援に関する検討会」が報告書案を取りまとめた。同研究会は平成26年11月より計13回にわたって開催され、現状の介護・育児休業なども含めた話し合いがなされてきた。中でも、「家族の介護・看護」にかかる問題は、直近の5年間で約44万人が離職せざるをえない状況を生み出している。10年後の団塊世代が全員75歳以上に達するタイミングをにらんだとき、介護・看護による失職者は未曾有の数に達することが予想され、わが国の経済成長にも大きなダメージを与えかねない。
まず、現行の介護休業・休暇制度などの概要を整理しておこう。@介護休業制度については、介護の対象となる家族が「要介護状態になる」ごとに1回、通算93日の取得を可能とする。A介護休業取得中の賃金については、雇用保険における介護休業給付によって賄われるが、給付額は休業前賃金の40%。B介護休業を取得しない間は、所定労働時間の短縮制度やフレックスタイム制などの選択的措置を企業に義務付けている。C介護休業以外に、対象家族1人につき年5日の介護休暇が取得できる(対象家族が2人以上の場合は10日)。Dその他、労働者が家族の介護・看護をしている間は時間外労働や深夜業についての制限を企業側に求めることができる。 しかし、現行制度において、たとえば介護休業制度を取得しているのは、介護をしている雇用者のわずか3.2%に過ぎない。その一因として報告書案で指摘しているのは、通算93日となっている介護休業の分割取得が難しい点にある。法定では「要介護状態になる」ごとに1回であり、分割取得を可能とするしくみは義務付けていない。あくまで分割取得の可否については企業側の裁量に任されている(ちなみに「法定通り」のみで分割取得を認めていない企業は64.9%にのぼっている)。 ![]() ● フレキシブルに取得できる制度を望む声が大多数
ちなみに、入院期間の短縮などによって状態像が不安定なまま在宅復帰に至る要介護者が増える中、「状態悪化によって入退院を繰り返す」、「老人保健施設と在宅を行き来する」といったケースも目立っている。つまり、家族としては、その時々の柔軟な対応を求められることになり、「1回のみという硬直化した取得法が現状に合わなくなっている可能性が高いわけだ。実際、検討会の調査では、介護休業の取得意思がある人のうち、「分割取得」を求める声が9割以上に達している。
これを受けて、報告書案では「介護休業の分割取得を(法定で)認める」ことの検討を求めている。また、検討会内において、通算93日という期間を「延長すべき」という意見が出たことも記されている。さらに、介護休暇制度についても、(ケアマネジャーなどとの打ち合わせにかかる時間などを想定して)時間単位や半日単位での柔軟な取得を可能にするといった案なども示された。政府としては、この報告書案をうけて、早期の法改正を進めていくことになりそうだ。 だが、介護休業の取得率が4%にも満たないという現状を見ると、果たして分割取得などで事態が変わるのかどうか不透明だ。特に中小企業などでは休業中の代替人員の確保なども難しく、現実的な課題はまだまだ多い。企業間格差や労働者の働き方そのものから考えていかなければならないのかもしれない。 ![]()
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2015.08.27 |
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