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10月より3大疾病機構団信の保険金支払事由が追加!
● 保険金の支払事由に「所定の手術」を追加
  住宅金融支援機構の「3大疾病保障付機構団体信用生命保険」(以下、「3大疾病機構団信」)の保険金支払事由が、平成27年10月1日より追加になります。追加される支払事由は以下の通りです(住宅金融支援機構のホームページより引用)。
   急性心筋梗塞及び脳卒中を発病された場合の保険金の支払事由に「その疾病の治療を直接の目的として、所定の手術を受けたとき」を追加。
   保険金の支払対象となる悪性新生物(がん)を明確化します(従来から支払対象としていたものを明記する)。
  ご存知の通り、機構団体信用生命保険(以下、機構団信)は、住宅ローンの借入者が死亡または重度後遺障害の時にローンの残債が保険金として支払われる、言わば住宅ローン専用の生命保険。その保障範囲を「がん・急性心筋梗塞・脳卒中」の3大疾病にまで広げたのが、「3大疾病機構団信」です。
  今回注目されるのが、急性心筋梗塞や脳卒中で所定の手術を受けた場合でも、保険金が支払われる(ローンが全額返済される)ようになること。
  急性心筋梗塞や脳卒中の場合は、これまで「医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上、労働の制限を必要とする状態が継続」という要件が定められ、がんの場合における「診断確定」で保険金が支払われるのに比べると、ハードルの高さが感じられるものでした。そこに「所定の手術」が支払事由に追加されたことで、加入者にとってはメリットであるとともに大きな安心につながりそうです。
● 3大疾病機構団信の損益分岐点は?
  ところで、3大疾病機構団信の場合は保障範囲が広いことで、当然のことですが特約料は通常の機構団信に比べると高くなります(下表参照)。
借入額3,000万円/金利1.58%/返済期間35年(元利均等返済)の特約料の総額
機構団信 3大疾病機構団信
2,091,600円 3,195,100円
差額約110万円
※住宅金融支援機構ホームページ「機構団信特約料シミュレーション」で試算
  このように、3大疾病機構団信の方が特約料の総額で約110万円増えます。年間に直せば約3万円の負担増です。「死亡時の返済リスクは大きいから通常の機構団信には入るとして、100万円以上かけてでも、3大疾病時の返済リスクにも備えた方が良いのだろうか……?」。そのように悩む人は多いと思います。そこで、“損益分岐点”を考えてみましょう。
  110万円のコストをかけてそれを上回るリターンが得られるのは、ローン元金を110万円超残して、3大疾病の支払い事由に該当した場合です。例えば、上表で示した借入れ条件で3,000万円の住宅ローンの元金が約110万円になるのは(繰上げ返済をせずに返済し続けた場合)34年目です。仮に35歳の時に借りたとすると69歳時点ですから、69歳より前に3大疾病の支払い事由に該当すれば、110万円のコストをかけたとしても十分に見合う計算です。
  3大疾病は、日本人の死亡原因の上位を占める病気です。この損益分岐点、皆さんはどのように感じるでしょうか?
  
高橋 浩史 (たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
東京都出身。デザイン会社、百貨店、広告代理店などでグラフィックデザイナーとして20年間活動。その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。
住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/
  
  
2015.08.31
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