>  今週のトピックス >  No.3087
若者の約3割「できれば働きたくない」
● これからの社会を担う若者の就労観に着目
  電通総研と電通若者研究部(ワカモン)は、若者の就労観に着目し、「若者×働く」調査を共同で実施した。この調査は、週に3日以上働いている18〜29歳の男女(以下、「若者」という)3,000名を対象とし、30〜49歳の男女2,400名のデータと比較することで、若者の現在の働き方、働く目的、働くことに対する意識などを明らかにしている。調査結果によると、若者の約4割が「働くのは当たり前」と思っている一方で、「できれば働きたくない」と思っている若者が約3割もいることが分かった。
● 休みが取りづらい、残業が多いことを不満に思うのは若者の証拠?
  まずこの調査対象となった若者の就労構成をみると、正社員・正規職員63.6%、契約社員・派遣社員・パート・アルバイトなどの非正規雇用が32.1%、自営業主が4.1%。女性の非正規雇用は42.1%と、男性(22.8%)に比べてかなり高い割合を占めている。
  調査結果では、若者の2人に1人が給料やボーナスなどの待遇面に不満を感じていることが明らかになったが、給料面については若者に限らず上の年代でも不満を感じており、年代による大きな差はない。しかし、「有給休暇が取りづらい」「通勤時間が長い」「残業時間が多い」という項目では、若者のほうが不満に感じている割合が高い。
  30代以上の人は、社会人として経験を重ねてきたなかで、組織の一員として働くうえではこのようなことはある程度やむを得ないと考えていても、若者には納得できず不満に感じてしまうのかもしれない。
● 安定した収入のために働くが、1つの会社に縛られたくない?
  働く目的では、現在は「安定した収入のため」が約7割を占めるが、理想としては「生きがいを得るため」といった前向きなマインドもあることが分かった。
  会社や仕事の選び方では、できるだけ安定した会社で働きたい(37.1%)と思う一方で、1つの企業でずっと働いていたい(17.3%)という意識は低く、会社に所属しながらの在宅勤務や、勤務時間を選べる環境で働いてみたい、という意識があることも分かった。
  最近は、週休3日制度、短時間勤務制度及び在宅勤務制度などワーク・ライフ・バランスを重視した多様な働き方が広まりつつあり、自分の会社に選択肢があり、自分が対象となるのであれば、今後は考えてみる人も増加してくるのは当然ではないだろうか。
  若者が理想と現実のギャップに悩みながらも、思っていた以上に前向きに働くということを捉えていたことは意外であったが、このようなデータが各方面で有効に活用されることを願いたい。
※10〜20代の生活意識を研究する電通総研のプロジェクトチーム。
参照 :  電通総研、「若者×働く」調査を実施
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2015.09.28
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