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家族(世帯)類型の進化と問題点
● 少子高齢化の中での「核家族世帯」は?
  毎年減少し続けている1世帯平均構成人員は、現在2.27人となっています。日本では2008年以降、人口減少に転じていますが、世帯数は現行調査開始以降、依然として増加しているため当然この数値は逓減するわけです。
  国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、世帯数の増加は2019年まで続くことが予測されています。現在一般世帯の大半である約57%を占めているのは高度成長期から増え続けてきた「核家族世帯」です。しかし、1980年代まで60%を超えていたこの占率は頭打ちとなり減少に転じています。
  核家族世帯には「夫婦のみ」「夫婦と子」「一人親と子」の3類型があります。従来その中心は世帯主が働き盛りの「夫婦と子」で成り立つ世帯で1980年には同推計で42.1%を占めていましたが、2035年には23.3%へ大きく落ち込む見通しです。一方で一貫して増加し続ける「単独世帯」は19.8%から37.2%へと占率が逆転します。特に高齢者世帯で目立ちます。
● 長寿世界一社会での老後生活期間とは?
  日本人男性の平均寿命は80.5歳、女性は86.83歳で、世界有数の長寿国となっています。また、世界188か国の2013年の「健康寿命」を調査(米ワシントン大研究チームが8/27に英医学誌ランセットで発表)した結果、日本の健康寿命は男性が71.11歳、女性が75.56歳で、男女とも1位だったことが新聞でも報道されました。
  厚生労働省の審議会等で使用された資料によると、『勤労者の定年後の豊かなセカンドライフは、65歳まで健康で継続雇用された後、健康寿命を全うするまで(男性は71歳までの約6年間、女性は75歳までの約10年間)、その後は平均寿命を全うするまで要介護期間として男性は約10年間、女性は約12年間を経て生涯の幕を閉じる』ということになります。
   ※  「健康寿命」とは、単に寿命を延ばすのではなく、健康に長生きすることを重視する考え方に基づき、世界保健機構(WHO)が2000年に提唱した概念で、介護が必要となったり、日常生活に支障が出る病気にかかったりせずに、自立して過ごせる期間が終了する平均年齢をいう。
● 「単独世帯」の占率が上がり続けたら?
  問題はこの豊かなセカンドライフと長い要介護期間の「単独世帯」です。9月4日に公表された国立社会保障・人口問題研究所の調査結果では、核家族世帯から単独世帯へと移行する割合や従来からの単独世帯は単独世帯のままとなる割合が高く、親子の同居傾向は依然として低下しています。その中で、唯一65歳以上の子が、生存する高齢の親と同居する割合(26.7%)が継続して上昇していることは注目に値します。
  昭和30年代の所謂「核家族化」をベースに発展してきた生保業界も、国内においては、人口構成とともに進化する家族類型に対して、提供すべき商品の内容やサービスのあり方について新しい挑戦(現物給付検討等)を続けています。自分らしい生き方の選択、セカンドライフ以後の財源、要介護期間の望ましい家族関係など、遺族保障の枠組みだけでは容易に解決できない社会的な課題が多いことにも今更ながら気付かされます。
参考・出典  : 総務省自治行政局「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(平成27年1月1日現在)」
国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(2013年1月推計)」
国立社会保障・人口問題研究所「第7回世帯動態調査(平成26年)」
2015.10.08
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