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平成26年分国外財産調書、前年比47.8%増の8,184件
● 総財産額は前年比23.9%増の3兆1,150億円
  近年、国外財産の保有が増加傾向にあるなか、国外財産に係る所得税や相続税の課税の適正化が喫緊の課題となっていることから、納税者本人から国外財産の保有について申告を求める仕組みとして、平成24年度税制改正において国外財産調書の提出制度が創設され、平成26年1月から施行された。国税庁はこのほど、国外財産調書制度創設後2年目となる平成26年分の国外財産調書の提出状況を公表した。
  それによると、2年目の平成26年分(平成26年12月31日における国外財産の保有状況を記載した)国外財産調書の提出件数は、今年6月末までに提出されたもので前年比47.8%増の8,184件、その総財産額は同23.9%増の3兆1,150億円だった。
  局別に提出件数をみると、「東京局」5,382件(構成比65.8%)、「大阪局」1,054件(同12.9%)、「名古屋局」632件(同7.7%)の順に多く、この都市局3局で全体の約9割(86.4%)を占めた。財産額でみると、「東京局」は2億3,501億円にのぼり、総財産額の75.4%を占め、東京、大阪(11.7%)、名古屋(5.3%)の3局で9割強(92.4%)を占める。
  また、財産の種類別総額では、「有価証券」が54.1%を占める1兆6,845億円で最多、「預貯金」5,401億円(構成比17.3%)、「建物」2,841億円(同9.1%)、「貸付金」1,164億円(同3.7%)、「土地」1,068億円(同3.4%)のほか、「それ以外の財産」3,831億円(同12.4%)となっている。
● 平成27年からは故意の不提出等に対し罰則も
  国外財産調書提出制度は、その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する居住者は、その財産の種類や数量及び価額、その他必要な事項を記載した国外財産調書を、その年の翌年3月15日までに所轄税務署長に提出しなければならないというもの。個人を対象に平成26年から義務化されたが、国外財産調書は、自主的に自己の情報を記載し提出するものであることから、適正な提出を確保するためのインセンティブ措置等が設けられている。
  具体的には、(1)調書を期限内に提出した場合に、記載された国外財産に係る所得税・相続税の申告漏れが生じたときであっても加算税を軽減(▲5%)、(2)調書の提出がない場合又は提出された調書に国外財産の記載がない場合に、その国外財産に関して所得税の申告漏れが生じたときには、加算税を加重(+5%)する。また、平成27年1月1日からは故意の不提出や虚偽記載に対して1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される。
参考  : 国税庁「平成26年分の国外財産調書の提出状況について」
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2015.11.02
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