> 今週のトピックス > No.3119 |
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まだまだ使える「生前贈与の非課税制度」
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![]() ■ ふくらんだ高齢者の資産、現役世代への移転をうながす
相続税が平成27年1月から改正されたが、政府は税収アップとともに、高齢者の資産移転も狙っている。今年9月15日時点で65歳以上の高齢者は3,384万人、総人口に占める割合は26.7%と過去最高である(総務省「人口推計」)。65歳は団塊世代の最終組。65歳より上の世代は高度経済成長の波に乗り、現役時代の収入や資産形成で恩恵を受け、公的年金や退職金も現役世代より多く、生活にゆとりがある。政府としては、高齢者の持つ資産を現役世代に早期に移転させて、消費を活性化させたい考えだ。
そのため、27年の改正で暦年贈与の税率は、直系尊属から20歳以上の直系卑属への贈与はそれ以外の贈与より優遇されることになった。また、ここ数年の間に、直系尊属から直系卑属への贈与について新たな非課税制度(特例)の導入や既存制度の拡充・延長がなされている。ここでは、子や孫への一括贈与で非課税になる3つの制度について確認していこう。 ![]() 平成27年1月1日から平成31年6月30日までに、父母や祖父母から、20歳以上の子や孫へ、自宅の購入、新築や増改築等のための資金を贈与された場合に、一定の要件を満たせば非課税となる制度だ。非課税限度額は、27年末までは1,000万円(良質な住宅家屋は別途加算あり)、それ以降は700万円(同)だ。しかし、消費税が10%に引上げられた後に住宅を購入した場合には、限度額は2,500万円と一挙に増える予定だ。消費税導入後の住宅市場の冷え込みを緩和する狙いがある。 A結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置 平成27年4月1日から平成31年3月31日までに、結婚資金や子育て資金に充てるために、父母や祖父母から20歳以上〜50歳未満の子や孫名義の金融機関の口座等に、資金を一括して贈与した場合、1,000万円(結婚関係の費用については上限300万円)まで贈与税が非課税となる制度だ。子や孫は結婚・子育て資金として使ったことを証明する領収書等を金融機関に提出することで、非課税でお金を引き出せる。ただし、子や孫が50歳になった時点で口座に残っている金額には贈与税がかかる。また、50歳になる前に贈与者である親や祖父母が亡くなったときには、その時点で口座に残っている金額は、相続や遺贈により受け取ったものとみなされて、その時点で相続税の課税対象となる。ただし、通常、孫には相続税の2割加算があるが、この制度で受け取っている分に関しては、2割加算の対象外となる。〔今週のトピックスNo. 2957、No.3013参照〕 B教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置 平成25年4月1日から平成31年3月31日までに、父母や祖父母が30歳未満の子・孫名義の金融機関の口座等に、教育資金を一括して贈与した場合、1,500万円(学習塾など学校以外への支払いは上限500万円)までが非課税となる制度だ。子や孫は、入学金や授業料などの教育資金として使ったことを証明する領収書等を金融機関に提出することで、非課税でお金を引き出せる。ただし、子や孫が30歳時点で口座に残っている金額には贈与税がかかる。〔今週のトピックスNo.2569、No.2606、No.2608、No.2805参照〕 C相続時精算課税制度 上記@〜Bのように目的に縛られないで、非課税で一括して贈与できる制度だ。60歳以上の父母・祖父母から20歳以上の子・孫へ贈与する際、この制度を選択して一括または複数回で贈与して、累計で2,500万円まで非課税となる。この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間に所定の書類を添付した贈与税の申告書を税務署に提出する必要がある。なお、@〜Bの制度との併用も可能(住宅取得資金の場合、親の年齢が60歳未満でも相続時精算課税制度が利用できる。平成31年6月30日まで)。 ただし、贈与者が死亡した場合には、この制度で受け取った贈与財産を相続財産に持ち戻して相続税を計算することになる。また、一度この制度を選択すると暦年課税は選択できなくなる点に注意が必要である。〔今週のトピックスNo.2593、No.2929参照〕 ![]() * *
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2015.11.30 |
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