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基礎を押さえたい! 暦年贈与の非課税枠110万円
● そもそも贈与とは?
  贈与とは、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方がこれを受託することによって成立する民法上の契約である。平たく言うと、「あげます」と「もらいます」の意思表示がキーとなる。例えば、祖父が子供や孫に何の通知もなく、自身が管理している各人別の通帳に入金している場合は、まさに「あげたつもり贈与」となり、単なる名義預金に過ぎないため、注意が必要だ。
  贈与は、通常、親族その他特殊関係がある者相互間で行われることが多く、しかも大部分が書面によらずに行われるので、財産の名義変更が行われた場合であっても、贈与に該当するかどうかの判断は困難である。そのため、現金で贈与する場合は、通帳で入出金が把握できることが好ましい。
  財産の名義変更は、新たにその所有権を取得した者が第三者に対し、所有権を主張するために行われる場合がほとんどであり、一般的に名義人が所有権者と推定されている。そのため、贈与税では、不動産や株式等に名義変更が行われた場合において、対価の授受が行われていないとき又は他人名義で新たに不動産や株式等を取得したときには、原則として、それらの財産は、その名義人となった者が贈与を受けたものとして取り扱われる。
● 勘違いの多い非課税枠110万円
  贈与税の課税価格は、その年の1月1日から12月31日(暦年)までの間に贈与により取得した財産等の合計額となる。この課税価格から、基礎控除110万円を控除した後の金額に税率を適用して納付すべき税額を計算する。つまり、基礎控除110万円以下の贈与であれば税金はかからない。しかしながら、基礎控除110万円というのは、贈与者ごとに年間110万円あると勘違いされている方も多いようである。正しくは、基礎控除110万円は受贈者1人につき年間合計額である。孫が祖父から、そして父からも110万円の贈与を受けた場合には、年間220万円の贈与を受けたことになり、贈与税申告書も納税も必要になるので、注意していただきたい。
  では、12月31日に父から110万円の贈与を受けた息子が、翌日1月1日にまた父から110万円の贈与を受けた場合にはどうなるのか? 贈与税の基礎控除110万円は年単位であるので、この場合はセーフであり(父以外の贈与がないと仮定)、申告も納税も不要である。
  これから、年末年始に向けて親族で集まる機会が多いと思われるが、「うっかり贈与」にならないように気をつけていただきたい。
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今村 京子 (いまむら・きょうこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
三重県出身。金融機関・会計事務所勤務を経て現法人へ。平成15年6月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
プライベートでは、夫は税理士の今村 仁で2女の母。趣味は歌舞伎鑑賞。
マネーコンシェルジュ税理士法人
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2015.12.03
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