>  今週のトピックス >  No.3123
ソーシャルメディア対策できていますか?
● ネットの書き込み炎上への危機意識は高くなっている
  近年、食品メーカーや小売・飲食店などの従業員による投稿や書き込みがもとでインターネット上で炎上事件が起こるたびに、企業のソーシャルメディア対策が問われている。
  ソーシャルメディアとは、「利用者の発信した情報や利用者間のつながりによってコンテンツを作り出す要素を持ったWebサイトやネットサービスなどを総称する用語」(IT用語辞典)で、具体的には、ブログ、FacebookなどのSNS、Twitterなどのミニブログ、YouTubeなどの動画共有サイト……などさまざまなものがある。
  インターネット上に気軽かつ匿名で瞬時に投稿・書き込みができることから、悪意のある情報拡散や機密漏えいによって炎上してしまう可能性を孕んでいる。従業員や関係者のちょっとした発言で会社があっという間に傾いてしまうくらいの破壊力をもっていることから、企業のリスク管理の一つとしてソーシャルメディア対策が重要視されるようになった。
  投稿モニタリングおよびソーシャルアプリサポート事業を手がけるアディッシュ株式会社では、2015年5月に100社を対象に「2015年度 ネットの書き込み炎上・風評被害対策の実態調査」を実施して、その結果を発表している。
  調査結果によると、業界問わず半数以上の企業がソーシャルメディアポリシー・ガイドラインを制定していることがわかった。また、自社に関する書き込みを検索する企業は半数以上、従業員に対するリテラシー研修を実施している企業は4割を超すなど、ソーシャルリスクに対する社内体制が整備されつつある。
  業界別では、特に小売・飲食業で準備や教育などの対策が進んでおり、これらの業界は消費者との接点が多く、またこれまで「バイトテロ」が複数の企業で相次いだことから、ソーシャルリスクへの対策意識が高まっているとまとめている。
  各企業は、このような発表をきっかけにして、従業員のソーシャルメディアに関する教育にも力をいれるとともに自社のソーシャルメディア対策について社内体制をあらためてゼロベースから見直してみたいところである。
● 就業規則を実際に運用できるものに改定する
  それでは、労務管理の視点から注意するポイントについてまとめておくこととする。
  まずは、就業規則の規定については、「業務遂行上知り得た会社の秘密情報及び公序良俗に反し、会社の信用を損なう情報を個人で利用する、ブログ、ソーシャルメディアサービスをはじめとするインターネット上のサービスで発信、開示してはならない」というような記載をしておき、さらに懲戒処分についても具体的に記載し、実際に事故が起きたときにもそのまま運用できるものにしておく。さらに詳細についてはソーシャルメディアポリシー・ガイドラインを作成することをおすすめしたい。
  また、会社でソーシャルメディアの利用についてのわかりやすい基本的なルールを作成して、常に目にするところに掲示しておくのもよいだろう。もちろん各個人による受け止め方の違いが出ることがあるのできちんと基礎の部分から教育研修をすることから始め、事例などを豊富にとりあげて良いことと悪いことの線引きについても明確にしておくことでトラブルを防ぐこともできる。
  過去に起きたSNSの炎上トラブルは、類似の事例が再び起きる可能性が高いので同業他社の優れた対策事例などもできれば研究して良い部分はぜひ学んでおきたい。
参照  : アディッシュ株式会社HP「2015年度企業のソーシャルリスクに対する実態調査結果を発表」
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2015.12.07
前のページにもどる
ページトップへ