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「新築神話」は健在? 中古住宅は少数派の現実
  2015年11月、内閣府「住生活に関する世論調査」が発表されました。住宅所有についての意向や、購入に際して新築・中古どちらを選ぶのかなど、住宅に対する意識が調査されています。その結果の一部を、ご紹介しましょう。
■ やはり住宅は新築が選ばれる?
  調査は2015年10月に行われたもので、「住宅や住環境に関する国民の意識を把握し、今後の施策の参考とする」ことが目的とされており、調査対象は全国の20歳以上の日本国籍を持つ人3,000人です。まずは、住宅の所有に関する結果から見ていきましょう。
●住宅を所有したいか
平成16年11月 平成27年10月
所有したい 79.0% 74.9%
所有する必要はない 12.1% 16.5%
どちらでもよい 7.8% 7.8%
  住宅を所有したい人は、前回調査から約4%減り、所有する必要がないという人は反対に約4%増えています。とはいえ、全体で7割以上の人は住宅の所有に肯定的な考えを持っていることが分かります。次に、住宅を購入する場合、新築か中古かについての結果です。
●住宅を購入するとしたら新築か中古か
新築の一戸建住宅がよい 63.0%
新築のマンションがよい 10.0%
中古の一戸建住宅がよい 6.1%
中古のマンションがよい 3.8%
いずれでもよい 14.2%
  一戸建とマンションを合計すると、約7割以上の人が新築がよいと回答しており、中古は1割弱にとどまっています。一般的に新築志向が強いと言われる日本人ですが、まさにその傾向を裏付ける結果といえるのではないでしょうか。
■ 中古住宅も選択肢のひとつに
  このように新築志向の強い日本の住宅事情ではあるものの、中古住宅を選ぶ人も当然のことながらいます。国土交通省「平成26年度 住宅市場動向調査報告書」によると、中古住宅を購入した人が選んだ理由として、「予算的にみて中古住宅が手頃だったから」が中古戸建住宅で75.3%(中古マンションで73.8%)と最多で、「新築住宅にこだわらなかった」が同じく45.5%(同39.6%)で続いています。
  中古住宅の最大のメリットは価格の安さといえます。前述の調査結果の通り、中古住宅を選ぶ理由としては購入予算を挙げる人が最も多いことから、購入予算で迷う場合には、中古住宅を選択肢にすることもひとつのポイントです。また、同程度の購入予算で新築と中古を比べると、築年数や設備の劣化などの経年要因を除けば、中古住宅の方が立地や間取りなどで有利な家を購入できる可能性があります。さらに、ローンの借入額も相対的に少なくなるため、返済開始後の家計の負担も少なくて済む可能性があるでしょう。
  「新築か、中古か」は、住まいに対する価値観の違いであるとともに、生活様式や家計事情などによって柔軟に選ぶことが求められます。
参考  : 内閣府「平成27年度 世論調査」住生活に関する世論調査
国土交通省「平成26年度 住宅市場動向調査」
  
高橋 浩史 (たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
東京都出身。デザイン会社、百貨店、広告代理店などでグラフィックデザイナーとして20年間活動。その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。
住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/
  
  
2015.12.14
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