>  今週のトピックス >  No.3131
4割占める非正規社員、活用できていますか?
● 高齢者の再雇用の増加も要因の1つ
  厚生労働省は、11月4日に「平成26年『就業形態の多様化に関する総合実態調査』の概況」を発表した。調査結果によるとパートタイマーや派遣など正社員以外の労働者の割合は、昨年10月1日時点で40.0%に達した。
  高齢者の再雇用やパート労働者が増えたことが要因とみられているが、企業側も非正規社員を上手に活用しなければならない。非正規社員で働いている人たちの希望も理解したうえで、労使ともにハッピーになれるような新しい働き方なども考えていく必要があるといえる。今後ますます労働力の減少が想定されることから、非正規社員の活用こそが企業経営の鍵になるといってもよいのではないだろうか。
● 正社員以外の労働者を活用する理由は、賃金節約のため
  正社員以外の労働者がいる事業所について、正社員以外の労働者を活用する理由(複数回答)をみると、「賃金の節約のため」が38.6%と最も高く、次いで「1日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」が32.9%、「即戦力・能力のある人材を確保するため」が30.7%などとなっている。
  企業が利益を優先するために、非正規社員を増やし人件費を抑制しようとする流れは止めることができない。しかしながら、人件費の抑制ばかりを優先していると、高い付加価値を生み出すことができる人材の採用・育成がおろそかになるので、長期的にみるとあまり望ましくないともいえる。
● 現在の就業形態を選んだ理由「自分の都合のよい時間に働けるから」
  一方で正社員以外の労働者(出向社員を除く)の意識も大変重要なのはいうまでもない。
  正社員以外の労働者が現在の就業形態を選んだ理由(複数回答)をみると、「自分の都合のよい時間に働けるから」が37.9%と最も高く、次いで「家計の補助、学費等を得たいから」が30.6%、「家庭の事情(家事・育児・介護等)と両立しやすいから」が25.4%、「通勤時間が短いから」が24.8%などとなっている。前回調査(平成22年)と比較すると、「正社員として働ける会社がなかったから」は18.1%と前回の22.5%から低下している。
  今回のような企業側の考え方や非正規社員の意識についてわかりやすくまとまっているデータは少ないので、これらを今後のマネジメントに上手に活用するとともに非正規社員で働く人のモチベーションを高めるために何をすればいいのかを徹底的に掘り下げて考えていく必要がある。
参照  : 厚生労働省 平成26年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2015.12.21
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