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税務調査、約7割が2日以内〜東京税理士会〜
● 「事前通知あり」は96%と例年通り
  東京税理士会(神津信一会長)では、平成26年7月から27年6月までの1年間を対象期間に、同会の税理士会員及び税理士法人会員のうち約3割を対象に「平成27年度税務調査・書面添付制度アンケート」を実施、集計結果(回答数1,465通)をまとめた。
  税務調査があったという回答(1,949件)のうち、「事前通知あり」は96.3%、「事前通知なし」は3.7%と、例年通りほぼ通知が行われている。通知がなかった無予告調査のうち、「臨場後速やかに国税通則法の手続きに則り、納税者の理解と協力を得て調査が行われたもの」が89.0%を占めている。
  無予告調査は、納税者の負担が特に大きいことから、東京税理士会では、「正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれがあるとき」又は「調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるとき」以外は避けることを求めている。
● 調査日数「5日以上」は1割強
  回答数1,927件から税務調査の傾向を見ると、税目の内訳は、「法人税(消費税含む)」が77.2%、「所得税(同)」が12.5%、「相続税(含む贈与税)」が7.1%、「消費税(単独調査)」が1.4%、「その他国税」が1.9%であった。
  調査内容は、「帳簿・証憑※1」が86.7%で大半を占めているが、「現金・預金」が30.5%、「机・書庫・金庫」が11.5%、「パソコン等」が9.6%、「調査関連役員・家族・従業員等のプライバシー的部分の調査」が5.3%、「反面調査※2」が8.8%と多岐にわたる。
  調査日数は、「1日」で終了が19.6%、「2日」が49.1%と、2日以内で終了したものが全体の約7割を占めている。2日を超えると、「3〜4日」が19.5%、「5日以上」が11.7%と、5日以上の割合は昨年同様1割強となっている。
  税務調査の調査結果については、回答数1,805件から内訳を見ると、「申告是認」が24.9%、「修正申告」が72.2%、「更正」が2.8%であった。なお、修正申告・更正924件のうち、「重加算税処分」となったものは246件(26.7%)だった。
※1  証憑(しょうひょう)とは、裁判所や捜査機関が刑罰を判断するのに必要な一切の資料のこと。
※2  調査対象者の取引している銀行や会社等に対して行う税務調査のこと。
● 書面添付ありは約2割
  税理士または税理士法人が申告書の作成に関して計算、整理、相談に応じた事項を記載した書面を添付した申告書を提出できる「書面添付制度」についての設問に対しては、回答数1,349件のうち、「書面添付をしている」ものは20.2%で、その内訳は「全て添付している」が3.1%、「一部添付している」が17.1%であった。
  また、「添付していない」と回答した79.8%のうち、「過去に添付していたが今は添付していない」が2.4%ある一方で、「今は添付していないが今後添付する予定」が6.8%あり、今後の添付割合の上昇が期待できそうな結果となった。
  書面を添付している理由(複数回答)は、「税務調査の省略化」が62.5%で最も多く、次いで「業務品質の向上」(50.0%)、「業務上の責任範囲を明確化」(37.1%)、「税理士の権利」(35.2%)、「顧問先に対するアピール」(33.7%)などが挙げられた。
  一方で、書面を添付していない理由(複数回答)については、「時間や労力がかかり煩雑」が54.6%で最も多く、次いで「添付する効果が不明」(51.6%)、「科目内訳及び概況書で十分」(30.9%)などが挙げられた。
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2016.01.04
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