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消費税転嫁対策取締り、12月末までに2,398件を指導
● 公正取引委員会の勧告・公表は31件
  経済産業省はこのほど、消費税転嫁対策特別措置法が施行された平成25年10月1日から平成27年12月末までの主な転嫁対策の取組状況をとりまとめ公表した。
  同省では、平成26年4月の消費税率引上げを踏まえ、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から、公正取引委員会とも連携して、(1)監視・取締り対応の強化策、(2)広報・事業者からの相談対応の強化策を一体的に実施し、転嫁拒否の未然防止、違反行為への迅速な是正を行っている。
  監視・取締り対応の取組みでは、買手側(特定事業者)の転嫁拒否行為に対しては、転嫁対策調査官(転嫁Gメン)による監視・取締りを行っており、平成27年12月末までの累計で、調査着手7,556件、立入検査3,317件を行い、指導を2,398件(うち大規模小売事業者104件)、措置請求を5件、勧告・公表を31件(同7件)実施した。これまで中小企業庁が行った措置請求5件は、公正取引委員会が勧告・公表している。
● 「買いたたき」が全体の8割強
  平成27年12月末までの勧告・指導件数2,429件を業種別にみると、「製造業」が660件で最も多く、「建設業」が260件(うち勧告2件)、「情報通信業」が259件(同2件)で続く。
  また行為類型別では、計2,482件のうち、「買いたたき」が2,075件(同31件)と全体の8割強(83.6%)を占めて圧倒的に多く、次いで「本体価格での交渉の拒否」が252件、「減額」が84件(同3件)、「役務利用・利益提供の要請」が71件となっている。
  勧告事例をみると、建設関係のある会社は、戸建住宅の建築工事に伴う大工工事等の請負契約を締結している個人事業者又は法人事業者の一部に対し、消費税率の引上げ分を上乗せせずに請負代金を据え置いて支払ったとして、平成27年12月22日に勧告されている。
● 7〜8割半ばの事業者が「全て転嫁できている」と回答
  なお、消費税の転嫁状況を定期的に把握するため、平成26年4月から、事業者に対して転嫁状況に関する月次モリタリング調査を毎月実施してきた。
  平成27年12月の月次モリタリング調査結果(有効回答数9,038事業者)によると、転嫁状況については、事業者間取引では84.7%、消費者向け取引では70.2%の事業者が「全て転嫁できている」と回答し、前月と比べて、それぞれ▲0.4ポイント、▲1.3ポイント。「全く転嫁できていない」と答えた事業者は、事業者間取引では3.9%、消費者向け取引では6.2%で、前月と比べて、それぞれ▲0.1ポイント、+0.4ポイントだった。
参考資料  : 平成27年12月末までの消費税転嫁対策の取組状況
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2016.02.01
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