>  今週のトピックス >  No.3152
地震保険の改定内容(3段階の1回目)が確定!
  地震保険は2014年7月の改定で基準料率(以下料率)が全国平均で15.5%引き上げられたが、その後、損害保険料率算出機構が行った被害予測シミュレーションによる危険度計算を行ったところ、+19.0%に引き上げが必要との結果となった。これを根拠に、損害保険料率算出機構は地震保険の基準料率の変更の届出を金融庁長官に行っていたが、2017年1月1日より実施する旨の認可を2016年1月5日付で取得した。これに伴い、各損害保険会社は、2017年1月1日以降始期の地震保険契約(中途付帯日・自動継続日を含む)から以下のとおり改定を実施する。
● 改定概要
(1)保険料水準について
  今回の改定(3段階改定の1回目)では、全国平均で+5.1%の引上げが行われる。
  なお、改定率は都道府県・建物の構造区分別により異なり、最大引上げ率は+14.7%、最大引下げ率は▲15.3%(今回は、都道府県ごとの料率の改定もあるため、北海道、愛知県、大阪府など引下げとなる地域もある)。
(2)複数段階に分けた料率の引上げ
  全国平均で+19.0%の料率の引上げが必要な状況にあるが、3段階に分けて料率の引上げを行う。今回の改定はその1回目にあたる。なお、2回目以降の料率改定については、新たな震源モデルの更新をはじめとする今後の各種基礎データの更新などの影響を踏まえて行われる予定であり、改定率・スケジュール共に現時点で決まっていない。
(3)損害区分の細分化(4区分化)について
  損害区分が現行の3区分から4区分に変更になる(半損が大半損、小半損に分割される)。
<損害区分と支払割合のイメージ図>
現行(3区分) 改正(4区分)
全損 100% 全損 100%
半損 50% 大半損 60%
小半損 30%
一部損 5% 一部損 5%
(4)その他のポイント
  割引を適用する場合の確認資料の見直し等、上記以外の規定改定も実施される予定。
● 地震保険料が引上げとなる場合の対策と留意点
  改定後の料率が適用される前(2016年12月以前)に保険期間を長期化(最長5年)すれば改定後の保険料が適用される時期を最長5年間遅らせることができる。留意しておきたいのは今回の改定によって損害区分も変わる場合があることである。たとえば、2017年1月以降に地震で建物等が被害を受けた場合、改定前の損害区分で半損として認定されれば保険金は地震保険金額の50%となる。一方、改定後であれば大半損(60%)に認定される可能性もある。このとき保険金は地震保険金額の60%となり、改定前の50%を10%上回る。地震保険金額が仮に1,000万円だとすると、10%(1,000万円×10%=100万円)の違いは決して少なくないのではないだろうか?このような場合は、改定前(保険料が引き上げとなる前)の方がよいとは一概に言えない。
  地震保険料が引上げとなる場合の対策の検討にあたっては、保険料のみでなく、受け取る保険金の観点も併せて考慮する必要がある。
参考  : 損害保険料率算出機構2015年9月30日ニュースリリースNo.2015-0018
2016.02.04
前のページにもどる
ページトップへ