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外国人労働者、あと数年で100万人突破か!?
● ベトナムとネパールからの労働者が急増
  厚生労働省は、平成28年1月29日に「外国人雇用状況」についての届出状況(平成27年10月末現在)を公表しました。
  日本国内で働いている外国人労働者は前年同期と比べて15.3%増加し、90万7,896人となり、平成19年の届出義務化以来、過去最高を更新しました。
  厚生労働省では外国人労働者が増加した要因を、「現在、政府が進めている高度外国人材や、留学生の受入れが進んでいることに加え、雇用情勢の改善が着実に進んでいることが考えられる」と見ています。それを裏づけるように、在留資格別では永住者・日本人の配偶等の「身分に基づく在留資格」が全体の4割を占めていますが、伸び率では、留学生などの「資格外活動」(前年同期比約34%増)、「専門的・技術的分野」の在留資格の外国人労働者(同約14%増)の増加が顕著です。
  外国人労働者を国籍別で見ると、中国約32万3千人(全体の35.5%)を筆頭に、ベトナム約11万人(同12.1%)、フィリピン約10万6千人(同11.7%)、ブラジル約9万6千人(同10.6%)で約7割を占めています。前年同期と比較すると、ベトナムが約8割増、ネパールが約6割増と高い伸びを示しています。厚労省では、「このままのペースでいけば、あと数年で外国人労働者は100万人を超える」(外国人雇用対策課)と見ています。
● 人手不足の中小企業を支える存在に
  一方、外国人を雇用している事業所の状況を見ると、事業所数は全国に15万2,261か所あり、前年同期と比べて約1割増加しています。都道府県別では、東京(全体の27.4%)、愛知(同8.0%)、神奈川(同6.5%)、大阪(同6.3%)、埼玉(同4.3%)の順で、これらの都府県で全体の半数を超えています。
  産業別では、製造業(全体の24.9%)、卸売業・小売業(同16.8%)、宿泊業・飲食サービス業(同14.2%)、サービス業(他に分類されないもの)(同7.8%)、建設業(同6.4%)が主なところです。製造業の事業所の占める割合は前年同期と比べると減少傾向にありますが、その一方で宿泊業・飲食サー ビス業や卸売業・小売業は増加傾向にあります。
  事業所規模別にみると、「30人未満」規模の事業所が最も多く、全体の55.6%を占めています。事業所数はどの規模においても増加していますが、特に、「30人未満」規模の事業所は前年同期比13.3%増と、最も大きな伸びを示しています。外国人労働者は人手不足の中小企業を支える存在といえます。
  なお、厚生労働省は、外国人求職者が多く住んでいる一部地域で、ハローワークに専門相談員や通訳を配置したり、労働局に外国人出張行政相談コーナーを開設して、就労・生活支援を行っています。
参照  : 厚生労働省 外国人雇用状況 報道発表
  
  
半田 美波(はんだ・みなみ)
社会保険労務士
みなみ社会保険労務士事務所 代表、株式会社サンメディックス 代表取締役
診療所で医療事務職として勤務した後、医療法人事務長、分院の設立業務担当を経て、2003年に医療機関のサポート会社・(株)サンメディックス設立。2004年にみなみ社会保険労務士事務所を設立。医療機関に詳しい社労士として知られる。
  
  
2016.02.08
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