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29年1月以降期限到来分から、加算税制度見直し
● 現行の加算税制度に潜む、2つの問題点
  平成28年度税制改正案に、加算税制度の見直しが盛り込まれている。現行の加算税制度には、大きく2つの問題があるとされる。
  1つは、税務調査の連絡があってからの自主的修正申告についての問題である。税務調査等で申告漏れを指摘された場合、仮装・隠ぺい等がなければ、過少申告加算税が10%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える増差税額については15%)課される。ただし、調査の連絡があってから実地調査が行われるまでの間に、自主的に修正申告した場合には、過少申告加算税は課されない。
  もう1つは、短期間に繰り返して無申告又は仮装・隠ぺいが行われた場合の対応についてである。現行の加算税率は、無申告又は仮装・隠ぺいが行われた回数に関わらず一律であり、故意犯や常習者への牽制効果が働いていない。
● 平成29年1月1日以後申告期限到来分から、新制度へ
  これらの問題に対応するため、平成28年度税制改正案にて、以下の手当てがなされる。
   (1)  調査を行う旨、調査対象税目及び調査対象期間の通知以後、かつ、その調査があることにより更正又は決定があるべきことを予知する前にされた修正申告に基づく過少申告加算税の割合(現行:0%)については5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%)とし、期限後申告又は修正申告に基づく無申告加算税の割合(現行:5%)については10%(納付すべき税額が50万円を超える部分は15%)とする。
(注1)次の修正申告等については、上記(1)の加算税の対象としない。
@ 次のように調査対象を区分する場合において、調査対象とならない部分に係る修正申告
イ  調査の事前通知の際に納税者の同意の上、移転価格調査とそれ以外の部分の調査に区分する場合
ロ  ー部の連結子法人の調査を行わないこととした場合
A 他の税目における更正の請求に基づく減額更正に伴い、調査対象税目において必要となる修正申告等
B 相続税又は贈与税について、遺産分割が確定するなどして任意に行う修正申告等
(注2)源泉所得税の不納付加算税については、上記(1)の見直しの対象としない。
   (2)  期限後申告若しくは修正申告(更正予知によるものに限る)又は更正若しくは決定等(以下「期限後申告等」)があった場合において、その期限後申告等があった日の前日から起算して5年前の日までの間に、その期限後申告等に係る税目について無申告加算税(更正予知によるものに限る)又は重加算税を課されたことがあるときは、その期限後申告等に基づき課する無申告加算税の割合(15%、20%)又は重加算税の割合(35%、40%)について、それぞれその割合に10%加算する措置を講ずる。
(注)過少申告加算税及び源泉所得税に係る不納付加算税については、上記(2)の見直しの対象としない。
  上記の改正は、平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用する。
※平成28年度税制改正大綱については、国会を通過するまでは確定事項ではありません。
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村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
マネーコンシェルジュ税理士法人
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2016.02.18
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