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平成28年度の国民負担率は43.9%で7年ぶり低下の見通し
● 租税負担率が26.1%、社会保障負担率は17.8%
  国民負担率とは、国民所得に対する税金や社会保険料(年金・医療費などの保険料)の負担割合。財務省はこのほど、国民負担率が、平成28年度予算では27年度見込みから0.5ポイント減の43.9%で、7年ぶりの低下となる見通しと発表した。緩やかな景気回復で国民所得が増える一方、労使折半の雇用保険料などが下がることが要因。
  28年度見通しの内訳は、国税15.9%、地方税10.3%で租税負担率が26.1%、社会保障負担率は17.8%。
  27年度見込みに比べ、租税負担率は0.4ポイント減(国税0.2ポイント減、地方税0.1ポイント減)、社会保障負担率は0.1ポイント減。社会保障負担は、この統計を開始した昭和45年以降では最高だった平成27年度(17.9%)をわずかに下回る。
  国民負担率を諸外国(平成25年実績)と比べた場合、アメリカ(32.5%)よりは高いが、フランス(67.6%)、スウェーデン(55.7%)、ドイツ(52.6%)、イギリス(46.5%)などよりは低い。
● 「潜在的な国民負担率」は50.6%の見通し
  真の負担率は、財政赤字という形で将来世代へ先送りしている負担額を加える必要がある。財務省によると、平成28年度の国民所得(27年度に比べ11万7,000円増の385万9,000円)に対する財政赤字の割合は、前年度から横ばいの6.7%となる見通し。この結果、28年度の国民負担率に財政赤字を加えた「潜在的な国民負担率」は、27年度からは0.5ポイント減の50.6%となる見通しだが、引き続き5割を超えている。
  この「潜在的な国民負担率」は、統計開始以来最高だった21年度の53.1%以来8年連続で50%を超える見通し。
  なお、租税負担率は、戦後は昭和20年代前半の混乱期を除いて20%前後で推移。しかし昭和51年度以降、次第に上昇し始め、平成元年・2年度の27.7%をピークに、その後はほぼ20%台前半で推移。OECD加盟33カ国(加盟34カ国からトルコを除く)との比較では(13年実績)、日本(24.1%)はメキシコ(20.5%)に次いで低い水準となる。
  また、平成28年度見通しの国民負担率43.9%は、調査開始以来、過去最高だった27年度の44.4%を0.5ポイント下回るが、5年連続で40%台の数字となる見込みだ。OECD加盟33カ国と比較した場合(13年実績)、日本(41.6%)は、比較可能な33カ国のなかで下から7番目に低い。ちなみに、最高はルクセンブルグの95.5%、最低はメキシコの22.8%(租税負担率も最低の20.5%)だった。
参考  : 財務省「国民負担率(対国民所得比)の推移」
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2016.02.29
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