> 今週のトピックス > No.3176 |
![]() |
リオ五輪にも影響!?ジカウイルス感染症について知る | ||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() |
![]() |
||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() |
![]() ● ジカウイルス感染症とは?
3月10日、ブラジルへの渡航歴がある女性1名がジカウイルス感染症の検査で陽性反応を示したと公表された。これで、ジカウイルス感染症患者は、国内では5例目(3月15日現在)となる。すべてが輸入症例であり、今のところ国内での感染例は報告されていない。だが、昨年末から今年にかけて主に中南米での流行が問題となる中、今年夏のリオデジャネイロ五輪との関係が懸念されている。わが国でも、厚労省だけでなく外務省もオリンピック開催中の現地渡航に対して、ホームページなどで注意喚起を行っている。
では、このジカウイルス感染症とはどのような疾病なのか。各報道等で目にする機会も多いだろうが、改めて整理してみたい。この感染症は、ジカウイルスをもった蚊が人から吸血することで感染する。基本的に人から人への直接感染はないが、まれに輸血や性行為による感染が指摘されている。症状としては、軽度の発熱、発疹、結膜炎、筋肉痛、倦怠感、頭痛などがあるが、いずれも症状自体は軽く、2〜7日ほど続いた後に治り予後も比較的良好とされる。 ![]() ● 問題が指摘される胎児への感染
一方で、いま問題となっているのは、母体から胎児への垂直感染が生じるというケースだ(先天性ジカウイルス感染症という)。この場合、胎児に小頭症などの先天性障害が起こるという可能性が指摘されている。
この胎児への影響の可能性はブラジルの保健省が示したものだが、断定されたものではなく、今も詳細な調査が行われている。だが、実際に近年ブラジルで小頭症の新生児が増えていることは、厚労省もHPで明らかにした。こうした事態を受けて、アメリカ疾病予防管理センターや欧州疾病対策センターは、今年に入って流行国地域などへの妊婦の渡航をひかえるよう警告・推奨するという対応を示した。さらに、2月1日にはWHOが緊急委員会を開催し、小頭症およびその他の神経障害の集団発生に関する「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態」を宣言するに至っている。もっともWHOとしては、「妊婦は流行地への渡航をすべきでないこと」などとしつつも、その他の「渡航や貿易についての一般的な制限はすべきでない」という勧告も行っている。今回の感染症に対し、各国の過剰な反応への懸念も垣間見える。 ちなみに、わが国の厚労省は、「妊婦および妊娠の可能性がある人は、可能な限り流行地への渡航を控える」ことを推奨しつつ、「やむをえず渡航する場合は、主治医と相談のうえで厳密な防蚊対策を講じることが必要」としている。この場合の防蚊対策とは、長袖・長ズボンの着用や、現地における蚊の忌避剤の使用を指す。デング熱でも同様の対応が推奨された点で、蚊を媒介とした感染症におけるスタンダードプリコーションと言えるだろう。 これから夏場に向けて蚊の発生が増える中、気になるのは、ジカウイルスを媒介する蚊の中に日本(秋田県および岩手県以南)でも生息するヒトスジシマカも含まれていることだ。ただし、国内感染の症例が過去にないことから、国内のヒトスジシマカがウイルスを持っている可能性は低いとされる(仮に海外で感染した人に吸血したとしても、ウイルスが卵内で越冬するという報告はなく一過性の感染となる)。いずれにしても、今後、厚労省などから発せられる最新情報に注意したい。 ![]()
![]()
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
2016.03.24 |
![]() |
|