> 今週のトピックス > No.3177 |
健康保険法改正による実務対応のポイント | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
● 協会けんぽの健康保険料率の見直しは3月分から
年度末を迎えてさまざまな法改正が同時期に行われ、中小企業経営者や給与計算及び社会保険の実務担当者の中にはちょっとした混乱が生じている人もいるかもしれない。そこで今回は、健康保険法関連の改正について取り上げることとする。
全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康保険料率および介護保険料率は、毎年3月分(4月納付分)より見直しが行われることになっており、今回も都道府県支部ごとに引上げ・据え置き・引下げと変更の内容が異なっている。3月分(翌月徴収の会社は4月に支払われる給与)から変更になっているので、給与計算の際には十分に注意しておきたいところである。 なお、協会けんぽの保険料率は、都道府県支部ごとに保険料率が異なっているので、同じグループの会社であっても適用事業所の所在地により保険料率が違うので注意しておきたい。 ● 健康保険の標準報酬月額の上限が改定
平成28年4月分から健康保険法及び船員保険法における現在の標準報酬月額の最高等級(47級・121万円)の上にさらに新たに3等級区分が追加され、上限が引き上げられることが決まっている。現在、健康保険の標準報酬月額は、5万8,000円から121万円までの47等級となっていて「121万円」が上限となっているわけだが、今回の改正で「139万円」が上限となり、保険料がアップする方もいるのであまり嬉しくない話である。
こちらの変更については実務上の手続きが気になるところである。協会けんぽ管掌の会社の場合、改定後の新等級に該当する被保険者が在籍する事業主に対して、平成28年4月中に管轄の年金事務所より「標準報酬改定通知書」を送る旨を発表しているので、標準報酬月額の改定に際して、事業主からの届出は不要となる。 また、各健康保険組合に加入している企業もそれぞれの健康保険組合ごとに各自で確認するとともに、通知文書等を見落とすことのないよう細心の注意を払いたい。この標準報酬月額の上限の改定は、保険料率の変更とともに給与計算に直接関連するところなので、取り扱いに自信がないとき、また不明なときには社会保険労務士に相談するのが望ましい。 なお、累計標準賞与額についても見直され、年間上限額が540万円から573万円に引上げられることになっている。 今後も厚生年金保険料も含めて社会保険料の負担は増加していくことが予測されるため、従業員に保険料率の改定を周知徹底するのはもちろんのこと、経営者サイドも予算に関係するのでしっかり押さえておく必要があるといえる。 ■標準報酬月額の上限引き上げ(最高等級の上に3等級追加)
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2016.03.28 |
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