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平成26年度分の赤字法人割合は5年連続減少の66.4%に
● 黒字法人の営業収入金額・所得金額は5年連続の増加
  国税庁がこのほど公表した「平成26年度分会社標本調査」結果によると、平成27年3月までの1年間である平成26年度分の法人数は261万6,485社、前年度より0.8%増で2年連続増加した。このうち、連結親法人は1,493社で同7.3%増、連結子法人は1万711社で同5.3%増だった。
  連結子法人を除いた260万5,774社のうち、赤字法人は172万9,372社で、赤字法人割合は前年度比1.8ポイント減の66.4%となり5年連続で減少したが、高水準に変わりない。
  平成26年度分の営業収入金額は、前年度に比べ3.0%増の1,538兆207億円と3年連続で増加。黒字法人の営業収入金額は同2.9%増の1,171兆3,286億円、所得金額も同8.3%増の53兆9,311億円と順調に増え、ともに5年連続の増加となった。営業収入に対する所得金額の割合(所得率)は、前年度から0.2ポイント上昇の4.6%となった。赤字法人割合は高水準だったものの、順調に景気回復を図っている企業との二極化がうかがえる。
  黒字法人の益金処分総額は前年度比8.7%増の71兆9,955億円。内訳は、支払配当が同10.6%増の16兆8,611億円(構成比23.4%)、法人税額等が同4.7%増の10兆5,826億円(同14.7%)、その他の社外流出が同3.7%増の7兆2,710億円(同10.1%)で、これらを引いた社内留保が同10.1%増の37兆2,809億円と51.8%を占めた。なお、役員賞与は、会社法創設に伴い、平成18年5月1日以後終了事業年度から利益処分項目ではなくなっている。
● 交際費等の損金不算入割合は大幅減少の27.4%
  一方、景気のバロメーターともいえる企業の交際費だが、平成26年度に全国の企業が取引先の接待などに使った交際費等は、前年度比5.4%増の3兆2,505億円と3年連続で増加した。しかし、過去最高だった平成4年度の6兆2,078億円に比べほぼ半減している。
  このうち、税法上損金に算入されなかった金額(損金不算入額)は同22.4%減の8,919億円と大幅に減少し、損金不算入割合は前年度の37.3%増から9.9ポイント減少の27.4%増となった。これは、平成26年に全法人を対象に交際費等における接待飲食費の50%を損金算入できる措置が創設されたため。
  営業収入10万円当たりの交際費等支出額は、全体では前年度より5円多い211円。これを資本階級別にみると、資本金1,000万円以下の階級が544円と高い一方、資本金が多くなるにつれ減少し、資本金10億円超では97円と低い。また、業種別にみると、「建設業」が515円と高い一方、「鉱業」が103円と低くなっている。
  また、企業が抱える繰越欠損金の当期控除額は9兆4,175億円で、翌期繰越額(年度末の繰越欠損金残高)は63兆9,698円。翌期繰越額は前年度に比べ6.8%(4兆6,646億円)減と6年連続で減少した。1事業年度当たり当期控除額は998万円。また、1事業年度当たり翌期繰越額は3,748万円で、これを業種別にみると、「金融保険業」(2億2,523万円)が突出して多い。
参考  : 平成26年度分会社標本調査結果の概要
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2016.04.11
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