>  今週のトピックス >  No.3189
重点監督を実施、約半数の事業場で違法残業を指摘
● 労基署調査対象事業場の約74%で法令違反
  厚生労働省が2月に公表した「『過重労働解消キャンペーン』における重点監督の実施結果」によると、重点監督を実施した5,031事業場のうち、3,718事業場(73.9%)で労働基準関係法令違反が指摘され、それらに対して是正に向けた指導が行われた。最も多かった「違法な時間外労働」は、約半数にあたる2,311事業場(45.9%)で確認できた。
  同重点監督は、長時間の過重労働による過労死に関する労災請求のあった事業場、若者の「使い捨て」が疑われる事業場など、労働基準関係法令の違反が疑われる事業場を対象に昨年11月に集中的に実施したものである。
● 月100時間超の時間外労働者がいる事業場は約46%
  違法な時間外労働があった2,311事業場のうち、時間外労働の実績が最も長い労働者の時間数が100時間を超えている事業場は3分の1にあたる799もあった。その内訳は下表の通りである。
時間外労働の時間 その労働者がいる事業場の数
100時間超〜150時間以下 646事業場
150時間超〜200時間以下 115事業場
200時間超 38事業場
  また、賃金不払残業があった事業場は509(10.1%)、過重労働による健康障害防止措置が未実施の事業場は675(13.4%)であった。
● 従業員の労働時間を正確に把握することが重要
  過重労働解消のためには、まず現場の実態を経営幹部が正確に把握することが求められる。一般的にタイムカードを導入している会社が多いが、近年は自己申告制を採用している会社が増えてきている。自己申告制の場合は、従業員が自主的に労働時間を控えめに申告するケースが見受けられたり、経営者や上司からの(無言のものも含めた)圧力によって残業時間に制限がかけられるなどして、正しく申告できていない会社も相当数存在するようだ。
  しかし、従業員の内部告発あるいは退職後の告発によってサービス残業が発覚することになると大きな問題となってしまうので、同調査結果をきっかけとして自社の課題について速やかに改善に取り組むべきであろう。
※ 法定労働時間を超える労働のほか、法定休日における労働も含む。
参照  : 厚生労働省「平成27年度『過重労働解消キャンペーン』の重点監督の実施結果を公表」
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2016.04.18
前のページにもどる
ページトップへ