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平成28年3月期決算の注意点(2)
  今週のトピックスNo.3183にて、平成28年3月期決算から適用となる税制改正のうち、主なものをご紹介したが、今回は、それ以外の改正項目をご紹介する。
● 欠損金の繰越控除の見直し
  欠損金の繰越控除制度について、大法人のみ、控除限度が所得の80%から65%に引き下げられる。それに伴い、欠損金の繰越期間が9年から10年に延長されるが、中小企業については、この繰越期間の延長のみが対象となる。なお、繰越期間が延長となるのは、平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金額からとなる。
● 受取配当等益金不算入制度の見直し
  持株比率1/3超の支配目的株式については、経営形態の選択等に税制が影響を及ぼすことのないように100%益金不算入とし、持株比率が低く、支配目的が乏しい株式については、他の投資機会との選択を歪めないように、持株比率5%超1/3以下の株式については、益金不算入割合を50%に、5%以下の株式については20%として新たに区分を設け、結果として、一部の益金不算入割合が引き下げられる。
● 貸倒引当金の簡便法における基準年度の見直し
  一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の計算において、中小法人等が法定繰入率によって設定する場合における実質的に債権とみられない金額を簡便法で計算する場合の基準年度が、従来の「平成10年4月1日から平成12年3月31日までの間に開始した各事業年度」から、「平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始した各事業年度」に見直された。従って、平成28年3月決算においては、簡便法であっても、個別法と同様に計算する必要がある。
● 研究開発税制の見直し
  研究開発税制(総額型)については、控除限度額の総枠は「法人税額の30%」を維持しつつ、オープンイノベーションを推進する観点から、共同研究・委託研究などの「特別試験研究費」は、控除限度が別枠化(5%)される(控除限度超過額の繰越制度は廃止)。また、「特別試験研究費」については、範囲が拡充されるとともに、税額控除率が引き上げられる。
● 法人住民税均等割の税率区分となる「資本金等の額」の見直し
  法人住民税均等割の税率区分の基準である「資本金等の額」について、「資本金等の額」から無償減資・資本準備金の取り崩し額(欠損填補等)を控除するとともに、無償増資の額を加算する措置を講じ、その額が「資本金」と「資本準備金」の合計額を下回る場合には、「資本金」と「資本準備金」の合計額とされる。
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村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
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2016.04.21
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