>  今週のトピックス >  No.3197
今年の新入社員、「プライベート優先」が過去最高に
● 「どちらかといえば」を含めてプライベート優先は56.5%
  株式会社マイナビは、2016年4月に企業に入社した新入社員を対象に「2016年マイナビ新入社員意識調査」を実施、このほど発表した。この調査は同社が主催する新入社員研修に参加した各企業の新入社員2,681名にアンケートを実施し、取りまとめたもの。2011年に調査を開始、今回で6回目となる。経年変化を見るためにもこのような調査を毎年続けることは大変望ましいことで、調査結果を分析して各企業も活用したいところである。
  今年の調査結果によると、仕事とプライベートのどちらを優先するかという質問に対しては、「プライベート優先」が56.5%(内訳は、プライベート優先の生活を送りたい10.0%+どちらかといえばプライベート優先の生活を送りたい46.5%)と、前年より3.2ポイント増加した。調査を開始した2011年は仕事優先が55.5%で、プライベート優先は半数に満たなかったが、翌年から連続してプライベート優先が増えていき、昨年は仕事優先を逆転、今年はさらに増えて過去最高の数字となった。2011年と比べると、じつに13.4ポイントも増加している。
  プライベート優先の新入社員が増えれば、指導育成の難しさを感じる場面も出てくるかもしれないが、その時に冷静になって自分の価値観ではなく、このような新入社員の意識の変化を感じとり、柔軟に対応していく力が求められている。
● 残業したくない新入社員も増加の一途
  残業についてどのように考えているかというと、調査開始以来、残業したくない人は増え続けており、今年は25.6%(内訳は、絶対にしたくない2.9%+なるべくしたくない22.7%)」と、新入社員の4人に1人が残業をしないような社会人生活を送りたいと思っている。
  さらに、「アフター5に会社の人と過ごすこと」に対して消極的な意見を持っている割合も、過去最高の78.5%(内訳は、会社の人以外と過ごしたい14.9%+なるべく会社の人以外と過ごしたい63.6%)となった。
  一方で、会社側の上司や先輩社員は新入社員とのコミュニケーションを深めるため、一緒にいる機会も増やそうと努力するわけだが、それが実は裏目に出ることもある。このような調査結果から判断すると、アフター5に会社の上司などからあまり誘いすぎると新入社員は自分の時間が少なくなり、ストレスを感じて仕事への意欲が低下することも考えられる。そのあたりのバランスを取りながら面倒を見ていかなければならないだろう。6年間の同調査結果の変遷を参考にするなら、新入社員のマネジメントも変わっていかざるを得ないということは理解しておくべきといえる。
  2007年に「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」が策定され、それを反映したキャリア教育が行われていることも新入社員の価値観に大きく影響している。社会人生活は仕事だけではなく、個人の生活も同時に重視したいというような考え方が、新入社員の中で広がっている。そのような中で企業側も労働時間を削減し、仕事の生産性を高めていくことが重要であることを全社員に伝えていく必要がある。
参照  : マイナビ 『2016年マイナビ新入社員意識調査』を発表
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2016.05.09
前のページにもどる
ページトップへ