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国交省、多世帯同居改修工事の費用等を告示
● 調理室増設工事では、条件付きでミニキッチンも可能に
  平成28年度税制改正で創設された特例措置について、3月31日付の国土交通省告示で住宅の多世帯同居改修工事等をした場合の所得税額の特別控除制度における標準的な工事費用が明らかになっている。同特例措置には、多世帯同居に対応した改修工事費用について、自己資金の場合(投資型)と借入金の場合(ローン型減税)の2つのケースがある。
  自己資金の場合は、同居対応改修工事に係る標準的な工事費用相当額(補助金がある場合は補助金控除後の金額、250万円が限度)の10%が所得税額から控除される。
  一方、借入金の場合は、償還期間5年以上の住宅ローンが対象で、同居対応改修工事に係る借入金のうち年末残高の2%を5年間、所得税額から控除される(250万円が限度)。
  国交省の告示では、特例の要件である調理室、浴室、便所、玄関のいずれかを増設する工事(改修後、これらのいずれか2つ以上が複数となるものに限る)それぞれの標準的な工事費用を定めている。
  対象となる工事例を見てみると、調理室の増設工事では、ミニキッチンの設置も認めているが、この場合は改修後の住宅にミニキッチン以外の調理室がある場合に限定している。なお、ミニキッチンとは、台所流し、こんろ台その他調理に必要な器具または設備が一体として組み込まれた既製の小型ユニットのことをいう。
  同様に、浴室の増設工事では、浴槽のないシャワー専用の浴室の設置も認めているが、この場合も改修後の住宅に浴槽の浴室がある場合に限定している。
● 区分に応じた標準的な工事費用を提示
  自己資金の場合における標準的な工事費用は、以下の区分に応じた各金額に工事の箇所数を乗じた金額になる。工事のうちに居住用以外の部分がある場合は、工事費用に占める居住用部分の割合を乗じて計算する。
  区分に応じた標準的な工事費用(箇所当たりの金額)は、(1)調理室増設工事(ミニキッチン設置は除く)は164万9,200円、(2)ミニキッチン設置工事は43万4,700円、(3)浴槽及び給湯設備を設置する浴室増設工事は140万6,000円、(4)浴槽だけ設置する浴室増設工事は83万7,800円、(5)浴槽のないシャワー専用設置工事は58万9,300円、(6)便所増設工事は58万2,100円、(7)玄関増設工事(地上階の場合)は65万5,300円、(8)玄関増設工事(地上階以外の場合)は124万4,500円となっている。
  なお、同特例は、自己の有する家屋に多世帯同居対応改修工事を行い、平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間に居住の用に供したときに適用される。
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2016.05.09
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