>  今週のトピックス >  No.3205
転職考えた男性の4人に1人が「嫁ブロック」を経験
● 「嫁ブロック」を理由に内定辞退したことがある人は44%
  エン・ジャパン株式会社は、同社が運営する人材紹介会社集合サイト「ミドルの転職」上で、サイトを利用している35歳以上の男性を対象に「嫁ブロック」についてアンケートを行った。「嫁ブロック」とは、「妻が反対しているので、内定を辞退させてください」と、男性が転職先に申し出ることであるが、近年この「嫁ブロック」を受けたという声を聞くことも増えているので、その実態に迫っている今回の調査は大変興味深い。
  調査結果によると、4人に1人(24%)が「嫁ブロック」を受けたことがあると回答。また、「嫁ブロック」を理由に内定辞退をしたことがあるかという質問には、44%の人が「ある」と回答した。転職市場が活況になっているが、既婚男性の場合、転職活動をする際には妻の意向に左右されることも多いということを理解したうえで、このような調査結果を採用活動の参考にしたいところである。
● 「嫁ブロック」の理由のトップは「年収が下がる」から
  エン・ジャパンの調査によると、「嫁ブロック」経験者に、嫁に反対された理由を尋ねたところ、もっとも多かったのは「年収が下がる」(42%)であった。以下、主だったところを挙げると、「有給休暇の取得率が低い」(26%)、「転職先の企業や業界に、あまり良い噂を聞かないから」(26%)、「年間休日日数が少ない」(15%)、「福利厚生が良くない」(13%)、「あまり本人が楽しそうじゃないから」(11%)と続く。
  これを年代別でみると、とくに30代が他の年代より突出した理由があるので参考にしてほしい。「有給休暇の取得率が低い」(57%)、「年間休日日数が少ない」(29%)、「残業が多そうだから」(29%)、「単身赴任になるから」(14%)――これらの理由に共通するのは、夫が家族と過ごす時間が少なくなることを嫌うという傾向だ。労働時間に関する理由が多いのは、今より残業や休日出勤が増えるのではないかという漠然とした不安が妻にあるからだろう。30代の場合、幼い子どもがいる可能性が高く、そうであるなら妻は、夫が家事・育児に協力してもらえる環境で働いてもらいたいと考える気持ちもわからなくはない。
● 普段から頻繁にコミュニケーションをとるのが一番
  「嫁ブロック」をされないためには、アンケート結果からもわかるとおり普段から夫婦間で頻繁にコミュニケーションをとるように心がけるのが一番である。しかしながら「嫁ブロック」されたことが、結果的には本人にとって良かったという人のほうが多いようだ。
  また、自分(夫)が転職先を決める際に冷静になって判断することができていないことを、配偶者(妻)が気づかせてくれることも多い。
  転職者を受け入れる企業側も、思っている以上に「嫁ブロック」が世間一般で定着していることを理解したうえで、面接時に家族の反応なども早い段階で確認しておくとよいだろう。
  せっかく内定を出しても、妻の意向で本人に辞退されてしまうと、会社は時間とお金を無駄に使ったことになり、採用計画も崩れてしまう。これまでに「嫁ブロック」による内定辞退者がいるならば、その理由や傾向を分析して対策を練っておくことは、採用活動を上手に進めるうえでのポイントになるのではないだろうか。
参照  : エン・ジャパン株式会社「嫁ブロック実態調査」
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2016.05.23
前のページにもどる
ページトップへ