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平成28年度一般会計予算の歳出の3分の1を借金に依存
● 歳出の7割強が国債費・社会保障・地方交付税交付金等
  平成28年度一般会計予算における国の一般会計歳出では、社会保障関係費(構成比33.1%)や国債費(同24.4%)が年々増加している一方、その他の政策的な経費(公共事業、教育、防衛等)の割合が年々縮小していることが、財務省がこのほど公表した「日本の財政関係資料」で明らかになった。国債の元利払いに充てられる費用(国債費)と社会保障関係費と地方交付税交付金等(同15.8%)で歳出全体の7割以上を占めている。
  一方、平成28年度一般会計予算における歳入(96兆7,218億円)のうち、税収は約6割を占める57兆6,040億円を見込んでいる。本来、その年の歳出はその年の税収や税外収入で賄うべきだが、2016年度予算では歳出全体の3分の2程度しか賄えていない。この結果、残りの3分の1程度(35.6%)の34兆4,320億円を公債金すなわち借金に依存しており、これは将来世代の負担となる。
  一般会計歳入・歳出総額が96.7兆円の我が国財政を1年間の支出が967万円(81万/月)の家計にたとえると、月収52万円に対して、毎月新たに29万円の新規借入れを行っており、ローン残高は8,664万円(住宅ローン残高2,749万円、生活費ローン残高5,916万円)に達している。毎月の支出81万円の内訳は、27万円が年金・医療・介護費用だが、親世代の高齢化に伴い毎年5万円程度増加中だ。
● 28年度末の国・地方の長期債務残高は1,062兆円の見込み
  我が国の普通国債残高は、年々増加の一途をたどっている。平成28年度末の普通国債残高は約838兆円にのぼると見込まれているが、これは一般会計税収の約15年分に相当し、将来世代に大きな負担を残すことになる。
  普通国債残高以外にも借入金や地方債務残高などの長期債務が存在する。これらを国・地方の双方について集計した「国及び地方の長期債務残高」は、平成28年度末に国が866兆円、地方が196兆円で計1,062兆円(対GDP比205%)に達する見込みだ。なお、債務残高の対GDP比をみると、1990年代後半に財政の健全化を着実に進めた主要先進国と比較して、我が国は急速に悪化しており、最悪の水準となっている。
参照  : 財務省「日本の財政関係資料」(平成28年4月)
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2016.05.23
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