>  今週のトピックス >  No.3217
厚労省、大学生らにアルバイトの労働条件の確認を促す
● 労働条件通知書を交付されない学生が多いという実態が明らかに
  厚生労働省では、全国の大学生等を対象に、多くの新入生がアルバイトを始める4月から夏休み前の7月にかけて、「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを実施しています。
  これは厚労省が昨年行なった「大学生等に対するアルバイトに関する意識等調査」において、経験したアルバイトで労働基準法で規定されている「労働条件通知書」等を交付されなかったと回答した学生が多かったことから今回のキャンペーン実施につながりました。
  調査結果のポイントを紹介すると、週1日以上、延べ3か月以上にわたってアルバイト経験のある大学生等1,000人の回答によるアルバイト延べ1,961件のうち、58.7%が労働条件通知書等を交付されていなかったと回答。さらに、労働条件について口頭でも具体的な説明を受けた記憶がないという回答が19.1%もありました。
  なお、件数ベースでは48.2%(人ベースでは60.5%)が労働条件等で何らかのトラブルがあったと回答しています。トラブルには、シフトに関するものが最も多いですが、中には賃金の不払いや、労働時間が6時間を超えても休憩時間がなかったという法律違反のおそれがあるものもありました。
  労働関係の法的知識もなく、職業経験のない学生であっても、労働力を提供してその対価である賃金を得ることは、一般の労働者と変わりはなく、パートタイム労働法におけるパートタイム労働者に該当します。学生が必要な知識を持っていれば、簡単にトラブルを避けられたものも少なくありません。
● 学生アルバイトに対しても厳正な雇用関係が求められる
  この調査結果を踏まえて同キャンペーンでは、アルバイトを始める前の学生に労働条件の確認を促すため、学生用の「労働条件通知書」を掲載したリーフレットや、具体的なトラブル事例を盛り込んだリーフレット等を作成して学生らに配布しています。ブラック企業の事業主が無知な学生に付け込まぬよう、リーフレットやホームページを通して、学生等に対して以下の「アルバイトを始める前に知っておきたい7つのポイント」の周知活動をしています。
  @アルバイトを始める前に、労働条件を確認しましょう!
  Aバイト代は、毎月、決められた日に、全額支払いが原則!
  Bアルバイトでも、残業手当があります
  Cアルバイトでも、条件を満たせば、有給休暇が取れます
  Dアルバイトでも、仕事中のけがは労災保険が使えます
  Eアルバイトでも、会社都合の自由な解雇はできません
  F困ったときは、総合労働相談コーナーに相談を
  なお、学生らに向けて都道府県労働局による大学等での出張相談や電話による「労働条件相談ほっとライン」なども開設しています。
  一方、採用する側である事業主も、「学生だから」といい加減な雇用関係に甘んじることなく厳正な対処が必要です。そのために厚労省では、事業主向けに「学生アルバイトの労働条件に関する自主点検表」を提供していますので、学生アルバイトを活用している事業所は、参考にされてはいかがでしょうか。
参考  : 学生アルバイトの労働条件に関する自主点検表
  
半田 美波(はんだ・みなみ)
社会保険労務士
みなみ社会保険労務士事務所 代表、株式会社サンメディックス 代表取締役
診療所で医療事務職として勤務した後、医療法人事務長、分院の設立業務担当を経て、2003年に医療機関のサポート会社・(株)サンメディックス設立。2004年にみなみ社会保険労務士事務所を設立。医療機関に詳しい社労士として知られる。
  
  
2016.06.13
前のページにもどる
ページトップへ