> 今週のトピックス > No.3222 |
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5月の米雇用統計発表、雇用の低調を受けて円が急伸
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6月6日(月)の米ドル円相場は、前週の109円台から一挙に106円台に円が急伸(ドルが急落)しました。これは、3日(金)の米雇用統計の発表値が予想値を大きく下回ったことが原因でした。
![]() ● 世界の経済指標の中で最も注目される指標
最大の経済規模を誇る米国の景気動向は、世界経済に与える影響が大きいため、毎月第1金曜日に米国の労働省から発表される雇用統計は、景気を敏感に反映する指標として高い関心を集めています。
雇用統計にはさまざまな項目がありますが、中でも注目度が高い指標が、「失業率」と「非農業部門雇用者数」です。非農業部門雇用者数は、農業以外の産業で働く雇用者数の月々の増減を算出するもので、前月比で雇用者の増加が20万人を超えると景気は好調と考えられています。 一昨年、昨年と、月平均の雇用者の増加は20万人を上回っていましたが、今年に入り20万人を上回ったのは2月のみでした。それでも4月までは月平均15万人増は上回っていたため、市場では5月も16万人増を予想していたところ、実際には2010年9月以来の低水準となる3万8,000人増と、予想を大きく下回るネガティブ・サプライズとなりました。このように、予想値と発表値の差が大きければ大きいほど、為替相場に与える影響は大きくなります。 ![]() ● 利上げの判断を左右
雇用統計は、米国の金融政策の重要な判断材料となります。というのも、FRB(米連邦準備理事会)はその使命として、「雇用の最大化」と「物価の安定」を掲げているので、インフレ率と同様に雇用の状況を注意深く見ているからです。
リーマンショック以降、雇用が回復を始めたのを見て、FRBは2014年10月に量的緩和策を終了し、すでに金融政策正常化(利上げ)の段階に入っています。昨年12月に、約10年ぶりに政策金利を0.25%引き上げ、今年5月の雇用統計の結果によっては6月にも2回目の利上げがあるのでは、という見方が強まっていました。ところが、予想外の統計結果によって、利上げが先送りされる公算が高いとの思惑から、ドルが売られ円が急伸したというわけです※。 ![]() ● 外貨建て保険商品への影響
日本ではマイナス金利導入後、円建ての一時払い終身保険や年金保険などの販売停止が続いています。一時払いで利回りが確保できるのは、為替リスクはあるものの、米ドルや豪ドルなどの外貨建て商品のみという状況になっています。米雇用統計の結果は、米ドル建て保険商品を販売する際の為替レートや金利にも影響を与えるため、フォローしていきたい指標のひとつといえるでしょう。
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2016.06.20 |
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